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「右手に触るな!」リハビリを拒絶する脳卒中70代男性の心を開いた"意外なひと言"…訪問看護師が担う"家族ケア"のリアル

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訪問看護
訪問看護師の役割は、リハビリや身の回りのケアだけではありません(写真:nisimu/PIXTA)
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主治医の指示書に基づいて医療処置をすることだけが診療の補助ではない。主治医と利用者をつなぎ、主治医に言えないことをサポートするのも役割の1つだ。

「当たり前ですが、医師と比べて利用者さんは圧倒的に医療知識が乏しいわけで、主治医にどう質問していいのか悩む人は多いんです。また、メインの病状以外の相談は躊躇してしまいがちですが、心配が消えるわけではありません。

私たちは『がんばって主治医に聞いてみて』と利用者さんの背中を押すのではなく、医師のほうから『訪看さんから聞いているけれど、どうですか?』と聞いてもらえるような状況を、あの手この手で作り出します」

主治医に「報告書」を読んでもらうための“作戦”

訪問看護師は毎月、利用者ごとの報告書を主治医に提出している。だが、木村さんの長年の病院勤務の経験では、その報告書を確実に主治医が読んでいるかといえば、必ずしもそうとはいえないそうだ。

訪問看護への指示書を書いた患者が1~2人ならばしっかり読めるだろうが、何十人もいる主治医は日々の外来・病棟診療をこなしながら、目を通すのはなかなか大変だろうと察しがつく。

リリーが連携する医療機関は函館市内の病院と八雲町内の開業医、過疎地の病院・診療所になるが、病院の規模にかかわらず患者のために親身になる医師とそうでない医師がいる。

また、地域医療連携室がシステマチックに機能する都市部の病院と違って、医療過疎地域の病院ではいまだに院内に“医師への忖度”のような空気があり、医師のご機嫌が悪いときには少しでも医師の負担を減らそうとするのか、訪問看護の報告書を受けつけない病院もあったりする。

「だからやりようですよね」と木村さん。具体的には、主治医への“お手紙作戦”をとっている。

報告書とは別に利用者の疑問や不安を手紙に書いて、利用者が外来で診察を受ける日に直接、「訪問看護師から預かりました」と主治医に渡してもらうのだ。診察室で渡されたら、主治医も読むしかない。

〈○△治療法に興味を持っていて話を聞きたいそうです〉

〈時々しびれが強くなる日があるそうで心配しています〉

〈薬が多くて飲むのが大変だそうです〉

など、読みやすくシンプルにした要件を紙1枚にまとめている。

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【「訪問看護」に対する大きな誤解】

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