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「右手に触るな!」リハビリを拒絶する脳卒中70代男性の心を開いた"意外なひと言"…訪問看護師が担う"家族ケア"のリアル

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訪問看護
訪問看護師の役割は、リハビリや身の回りのケアだけではありません(写真:nisimu/PIXTA)
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とはいえ、なかなかコミュニケーションが成立しないのは困ったなと思いながら、週1回の訪問を重ねていく木村さん。

「寝返りのリハビリをしましょう。寝返りができればベッドの上で体を動かせるし、夜中のトイレも奥さんを起こさずに1人で行けますよ!」と提案すれば、「右側に寝返ると元に戻れなくなる。左側はできるからリハビリは必要ない」と返ってくる。

それでも少しずつ肩甲骨のストレッチの効果が出てくると、これまでほとんど一方通行だった会話に杉江さんが応じるようになってきた。訪問開始から4カ月が過ぎていた。

もう一段コミュニケーションを深めたいなと思っていたら、そのきっかけはあっけなくやってきた。

その日、訪問すると、木村さんの好きなローリング・ストーンズのCDがかかっていた。思わず、「この曲、私も好きなんです!」と言うと、杉江さんの顔がパッと明るくなった。

木村さんは嬉しくなって、「実は私、これ系のおじさんバンドで鍵盤やっているんです」と聞かれもしない話をしてしまう。杉江さんに聞かれるままに好きな曲をズラズラ並べると、杉江さんは「全部あるよ」とCDを出してくれた。初めて見せるドヤ顔で。

「この日を境に一気に距離が近づきました。杉江さんの洋楽コレクションは相当なもので、前の週に好きだといった曲が翌週の訪問時に流れていたり。しぼんでいた杉江さんの心に一気に張りが戻ってきたんです」

木村さん(写真上)との信頼関係が構築され、やわらかな笑顔が戻った杉江さんと奥さん(写真:木村久子さん提供)

「医療知識のある相談相手」を求めている

その後、乙部町に新しく事業所がオープンし、杉江さんは希望していた訪問リハビリを契約したが、リリーの契約も継続する。

実は、継続を切り出したのは杉江さんの妻だった。

自分たちが体のことで困ったときに、田舎では身近に医療知識のある相談相手がいない。病院に気になることを問い合わせるのも、「そんなことで?」と思われそうでためらってしまう。

毎日夫婦2人だけで家の中で過ごしているけれど、木村さんが来た日はお父さんの口数も多くなって、声もよく出る。話すことの練習にもなった。来られるタイミングで構わないので継続してほしいーー。

杉江さん夫妻が望んだ「医療知識のある相談相手」というのは、訪問看護師の役目である“診療の補助”の一環だと木村さんはとらえている。

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【主治医と利用者をつなぎ、主治医に言えないことをサポート】

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