ココロ貯金は、心理学の交流分析におけるストローク理論をベースにした考え方ですが、このように、自己肯定感、ひいては学校への適応力も高まるため、親があれこれ言わなくても、自然と子どもの状況が好転し始めます。
「ココロ貯金」の具体的なアプローチ
・うなずきながら、「うんうん」「そうなんだ」「なるほどね」と、しっかりと声を出して相づちを打つ。
・親の話は2割、子どもの話が8割。
・子どもの話を最後の「。」まで、遮ることなく、味方になって聴く。
・親が言いたいことは、自分を主語にした「アイメッセージ」で伝える。
単に子どもの話し声を耳に入れるだけでは、「聴く」ではなく「聞く」です。実は、多くの親がやっているのは、子どもの話し声を耳に入れるだけの「聞く」で、これでは子どもは変わりません。
子どもの自己肯定感が高まるのは、「聴く」です。これができると、子どもは自分の存在を肯定されたと感じ、自己肯定感が高まります。
とはいえ、私たちは慣れたやり方を使いがちです。そのため、子どもの自己肯定感を高める「聴く」が、いつ、どんなときでもできるようになるには、練習が必要です。
「ほめる」より、「承認する(認める)」がベストです。なぜなら、子どもが学校に行かなくなると、基本的な生活習慣の乱れが多くなる傾向があり、「ほめたいけれど、ほめるところがない」という状態に陥りがちだからです。「承認する」であれば、子どもがどんな状態でも使うことができます。
以下に、具体的な方法を例示します。
[名前+あいさつ]
名前を呼ばれると、子どもは自分を大事にされていると感じます。「○○さん、おはよう」「△△君、おやすみなさい」と、あいさつの前にその子の名前を呼ぶだけでよいのです。
[実況中継]
「お風呂出たね」「ご飯終わったね」「白色の服にしたんだね」
目に見えたことをそのまま言葉にするだけですが、「あなたのことを意識しているよ」と子どもに伝わります。
これは、特に学齢が低い子どもに有効なアプローチです。子どもは、自分の体に触れてもらうと、理屈抜きで自分を大事にされていると感じます。
[スキンシップOKの子の場合]
・頭をヨシヨシする。 ・ギューッとハグをする。
・ハイタッチをする。 ・抱っこをする。
[スキンシップが苦手な子の場合]
・子どもが出かけるときに、軽く服にポンと触れる。
・頭マッサージ、足マッサージをする。
ココロ貯金は、親からの愛情が子どもに伝わらないと漏れていきます。ココロ貯金が漏れる3つのパターンがこちらです。
①ガミガミ…感情的に子どもを怒る。
②クドクド…同じことや正論を何度も言う。
③ネチネチ…嫌味を言う。
子育ては、24時間365日休むことなく続き、親の体調不良も時間のなさも関係ありません。特に、不登校の子と毎日向き合っていると、親は心身ともに疲弊し、ガミガミ、クドクド、ネチネチに陥りやすくなります。
だからこそ、子どもに言い過ぎてしまったなと感じたときは、反省は1秒だけでよいので、「今から、ここから、何度でも」ココロ貯金にリトライしてください。
ココロ貯金のよいところは、漏れたら、また貯められることです。漏れた愛情は、また貯めればOKなのです。
そもそも完璧な人間は世の中に1人もいません。子育ては、完璧にしようとするのではなく、「やらかしたらリカバリーしよう」くらいでちょうどよいのです。できれば、その日のうちにココロ貯金の収支を合わせられるとグッドです。
そしてぜひ、1日も休むことなく子育てをしている自分自身のことも、心の中で「私は大したもの!」「私はよくやってる!」と目いっぱい承認してください。心の中で何を思うのかは自由です。
こうして、自分自身へのココロ貯金が、ひいては子どもへのココロ貯金へとつながっていくのです。
子どもの心の貯金箱に愛情を貯めていくとき、まず育つのは、芽や花ではなく、根っこです。ところが、根っこは土の中にあるので、どれだけ延びたのかを外から見ることはできません。
不登校のわが子の心の貯金箱に、一生懸命に愛情を貯めているのに、一向に変化が見られないと感じたなら、それはきっと、子どもが根っこを下へ下へと延ばしている時期だからです。この時期を経ずして、決して変化は訪れません。
親ができることは、「話を聴く」という日光を浴びさせ、「承認する」という水をやり、「触れる」という肥料をやるところまで。
子育ては、親にとって、こんなふうにちょっと切ないものです。それと同時に、これ以上やりがいがあるものも他にありません。




