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もう自分を責めないで…不登校の子の親が「今すぐやめること」、すぐに始めたいのは《自己肯定感が高まる》3つのこと

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子どもを励ます母親
日本の不登校の児童生徒数は35万3970人と12年連続で増加している(写真:buritora / PIXTA)
  • 東 ちひろ 一般社団法人子育て心理学協会代表理事
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ココロ貯金は、心理学の交流分析におけるストローク理論をベースにした考え方ですが、このように、自己肯定感、ひいては学校への適応力も高まるため、親があれこれ言わなくても、自然と子どもの状況が好転し始めます。

「ココロ貯金」の具体的なアプローチ

①話を聴く

・うなずきながら、「うんうん」「そうなんだ」「なるほどね」と、しっかりと声を出して相づちを打つ。
・親の話は2割、子どもの話が8割。
・子どもの話を最後の「。」まで、遮ることなく、味方になって聴く。
・親が言いたいことは、自分を主語にした「アイメッセージ」で伝える。

単に子どもの話し声を耳に入れるだけでは、「聴く」ではなく「聞く」です。実は、多くの親がやっているのは、子どもの話し声を耳に入れるだけの「聞く」で、これでは子どもは変わりません。

子どもの自己肯定感が高まるのは、「聴く」です。これができると、子どもは自分の存在を肯定されたと感じ、自己肯定感が高まります。

とはいえ、私たちは慣れたやり方を使いがちです。そのため、子どもの自己肯定感を高める「聴く」が、いつ、どんなときでもできるようになるには、練習が必要です。

②承認する
「ほめる」より、「承認する(認める)」がベストです。なぜなら、子どもが学校に行かなくなると、基本的な生活習慣の乱れが多くなる傾向があり、「ほめたいけれど、ほめるところがない」という状態に陥りがちだからです。「承認する」であれば、子どもがどんな状態でも使うことができます。

以下に、具体的な方法を例示します。

[名前+あいさつ]

名前を呼ばれると、子どもは自分を大事にされていると感じます。「○○さん、おはよう」「△△君、おやすみなさい」と、あいさつの前にその子の名前を呼ぶだけでよいのです。

[実況中継]

「お風呂出たね」「ご飯終わったね」「白色の服にしたんだね」

目に見えたことをそのまま言葉にするだけですが、「あなたのことを意識しているよ」と子どもに伝わります。

③触れる
これは、特に学齢が低い子どもに有効なアプローチです。子どもは、自分の体に触れてもらうと、理屈抜きで自分を大事にされていると感じます。

[スキンシップOKの子の場合]
・頭をヨシヨシする。   ・ギューッとハグをする。
・ハイタッチをする。   ・抱っこをする。

[スキンシップが苦手な子の場合]
・子どもが出かけるときに、軽く服にポンと触れる。
・頭マッサージ、足マッサージをする。

ココロ貯金は、親からの愛情が子どもに伝わらないと漏れていきます。ココロ貯金が漏れる3つのパターンがこちらです。

①ガミガミ…感情的に子どもを怒る。

②クドクド…同じことや正論を何度も言う。

③ネチネチ…嫌味を言う。

『もうだれも責めなくていい! 不登校の子の親が今すぐやめること、始めること』(明治図書出版)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

子育ては、24時間365日休むことなく続き、親の体調不良も時間のなさも関係ありません。特に、不登校の子と毎日向き合っていると、親は心身ともに疲弊し、ガミガミ、クドクド、ネチネチに陥りやすくなります。

だからこそ、子どもに言い過ぎてしまったなと感じたときは、反省は1秒だけでよいので、「今から、ここから、何度でも」ココロ貯金にリトライしてください。

ココロ貯金のよいところは、漏れたら、また貯められることです。漏れた愛情は、また貯めればOKなのです。

そもそも完璧な人間は世の中に1人もいません。子育ては、完璧にしようとするのではなく、「やらかしたらリカバリーしよう」くらいでちょうどよいのです。できれば、その日のうちにココロ貯金の収支を合わせられるとグッドです。

そしてぜひ、1日も休むことなく子育てをしている自分自身のことも、心の中で「私は大したもの!」「私はよくやってる!」と目いっぱい承認してください。心の中で何を思うのかは自由です。

こうして、自分自身へのココロ貯金が、ひいては子どもへのココロ貯金へとつながっていくのです。

子どもの心の貯金箱に愛情を貯めていくとき、まず育つのは、芽や花ではなく、根っこです。ところが、根っこは土の中にあるので、どれだけ延びたのかを外から見ることはできません。

不登校のわが子の心の貯金箱に、一生懸命に愛情を貯めているのに、一向に変化が見られないと感じたなら、それはきっと、子どもが根っこを下へ下へと延ばしている時期だからです。この時期を経ずして、決して変化は訪れません。

親ができることは、「話を聴く」という日光を浴びさせ、「承認する」という水をやり、「触れる」という肥料をやるところまで。

子育ては、親にとって、こんなふうにちょっと切ないものです。それと同時に、これ以上やりがいがあるものも他にありません。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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