東洋経済オンラインとは
ビジネス #ソニーグループ 次の「一手」

ソニーがアイマス・YOASOBIで魅せた新エンタメの正体、「次元の壁越える」技術でIP活用最大化

8分で読める 有料会員限定
アイドルマスターのキャラクター「如月千早」の武道館公演に多くのファンが詰めかけた(写真:編集部撮影)

INDEX

「ソニーの人に会うなら、ありがとうって絶対に伝えてください!」

寒風吹きすさぶ1月下旬の武道館前で、20年超の『アイドルマスター(アイマス)』ファンだという男性(40代)は公演の終了後も興奮を抑えられない様子だった。

この日行われていたのは、バンダイナムコホールディングス(HD)が保有するゲームIP『アイドルマスター』に登場するキャラクター「如月千早(きさらぎちはや)」の武道館公演だ。

アイマスは2005年7月に稼働したアーケードゲームに端を発するシリーズで、プレーヤーはキャラクター(アイドル)の活動を支援するプロデューサーとしてゲームを進めるのが主なストーリー。家庭用ゲーム機やスマートフォンゲームとして現在も幅広いプレーヤーを抱える。

アイマスでは、これまでもライブイベントを多数開催してきた。だがその多くは、各キャラクターを担当する声優がステージに登場し、歌唱やダンスを披露するというもの。

今回の武道館公演ではこうした従来の形式とは異なり、会場中央に設置された大型ディスプレーにキャラクターを投影し、観客からはキャラクター自身が歌唱しているように見える演出が行われた。

武道館の中央に大型の画面を設置し、キャラクターを投影した(写真:ソニーグループ)

もちろん単純に大画面にキャラクターを映しただけではない。ソニーグループが密かに開発してきたロボット技術を投入し、バンダイナムコ側との綿密なすりあわせを経て、長年のファンも納得する「単独公演」へと昇華させた。

「生命感」のあるロボットに

この公演のためにソニーが磨きをかけてきたのは、「groovots(グルーボッツ)」というロボット技術。直方体の表面に表示内容を変化させられる高輝度の画面が貼り付けられてあり、動き回るためのタイヤとモーターを備える。

画面を搭載し、ステージ上で動かせるようにするというアイデア自体は単純だ。しかし、開発を担当したソニーの赤沼領大氏は「大きくて重いロボットを長時間動かしたり、複数のロボットを同時に協調させて動かしたりするのが実は大きな挑戦だった」と言う。

「とくにロボットの位置や動きについては高度な技術を入れて、こだわって動かした」と話した赤沼氏(写真中央)(写真:編集部撮影)

グルーボッツが活躍した場面が2つある。1つは、登壇したキャラクターの千早が衣装替えのため会場中央に設けられた円筒形のステージから離れるシーン。

ここで、ソニーが今回の公演のために開発してきた大型ディスプレーを搭載したグルーボッツが登場。ステージ上の花道を歩いて降壇するという演出が入った。「これまでも(キャラクターを投影する形式の)XR公演すべてに参加してきたが、まさか歩くとは思わなかった」(冒頭の男性)とファンを驚かせた。

次ページが続きます:
【12台が生きているかのように連動】

2/3 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象