ではICEの遅れの原因はすべて、DBの運行管理に問題があるせいなのだろうか。
比較として、日本の新幹線を見てみよう。新幹線は、在来線とは規格や構造が異なる別の鉄道システムで、山形新幹線や秋田新幹線のような「ミニ新幹線」の直通などの例外を除けば、新幹線と在来線が同じ線路や駅を共用することはない。そもそも、一般の在来線とは線路の幅が違うので、直通運転もできない。
一方でドイツのICEは、線路や駅を在来線と共用できる構造だ。高速運転を行う新線区間は都市部の駅を発車して市街地を抜けた先にあり、一般道と高速道路のような関係だ。列車は都市間では高速新線を走り、停車駅に近づけば新線から在来線に下りて駅に向かう。
その際、在来線ではローカル列車や貨物列車の隙間を縫っての運行となる。もしこれらの列車が少しでも遅れていようものなら、ICEにも遅れが波及してしまう。こうした遅れが停車駅ごとに数分ずつ積み重なっていくと、結果的には30分や1時間の遅れにつながってしまうことがある。
追いつかないインフラ整備
ただ、在来線と線路を共有することのメリットもある。例えば万が一、高速新線で事故や故障などが発生した場合、在来線を迂回させることで影響を最小限にすることができる。日本の新幹線は在来線への迂回は不可能で、災害などが発生すれば長期運休を避けられない。
遅延の原因としてはほかに、列車の本数増加に現在のインフラが対応できなくなっている点が挙げられる。ドイツ国内における公共交通としての鉄道の歴史は1835年に始まり、すでに190年以上が経過している。総延長は3万3000kmを超え、世界で6番目に大きい鉄道網を持つ鉄道大国だが、長い歴史を経るなかで鉄道網は老朽化し、駅構内の配線などは現代の運行スタイルに合わなくなってしまった。
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【人手不足も「終わらない工事」に拍車】
