ドイツを含むヨーロッパ各国の鉄道が日本と大きく異なる点は「上下分離」である。ヨーロッパ各国は、EU(欧州連合)の指令によって鉄道が上下分離化され、線路などを管理するインフラ会社と、その上を自社の車両を使って列車(旅客・貨物)を走らせて営業する運行会社は別となっている。
車両から駅、線路に至るまで基本的に自社で管理しているJR旅客6社をはじめとする、日本の鉄道とはこの点に大きな違いがある。
「ドイツの鉄道」が遅れるのは事実だが…
鉄道の上下分離化によって、それまで基本的に各国の国鉄が運行を担ってきたヨーロッパ各国の鉄道は、一定の基準さえ満たせばほかの民間企業が列車運行事業に参入できるようになった。
この「オープンアクセス」によって、今やドイツ国内ではドイツ鉄道だけでなく非常に多くの列車運行会社が参入しており、それらが同じ線路や駅を使って、ダイヤを分け合って運行している。
つまり、遅れている列車はドイツ鉄道=DBではなく、ほかの運行会社の列車である可能性もあるわけだ。
「ドイツ鉄道の遅れが~」と断定して、同社にばかり責任を押し付けるのは、さすがにちょっと気の毒と言わざるを得ない。せめて「ドイツ『の』鉄道」と主語を広げる必要があるかもしれない。
しかし実際に、DBが運行する高速列車「ICE」は遅れていることが多く、これは言い逃れができない。DBの2025年報告書(暫定版)によると、25年上半期の定時運行率(6分未満の遅れは定刻扱い)は、地域輸送の列車については90.6%だが、ICEなど長距離列車は63.4%となっている。
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【高速列車ICEはなぜ遅れやすいのか】
