第二は、特殊衣料が市場創造型企業・独立型中小企業であるという点です。モノづくり業でも小売業でもサービス業でも、下請型企業・指示待ち型企業など、取引先に依存せざるを得ない中小企業が多いのが日本の実態です。
しかし同社は、そうした外部依存型の経営を嫌い、市場創造型・研究開発型・独立型・オンリーワン型企業をめざして経営革新の努力を続け、それを実現してきました。特殊衣料がこれまで自社で創造提案してきた商品は、100アイテムをはるかに超えています。これができたのは、池田さんが、特定の企業に依存するような経営では、社員やその家族をはじめとする人々の幸せの実現が不可能だと考えたからです。
そして第三は、障がい者雇用や障がい者の就労支援への、熱心で積極的な取り組みです。特殊衣料はまだ小規模だったころから、障がい者の働く喜び・働く幸せづくりに取り組んできました。特殊衣料の現在の障がい者法定雇用率は、法定雇用率の2.5%をはるかに上回る37.8%(2025年6月)です。それだけでなく、地域社会全体として障がい者就労を促進支援するため、グループ企業として社会福祉法人も立ち上げています。では以下に、同社の内容をもう少し詳しく見ていくことにしましょう。
パート従業員から社長に
特殊衣料は1979年に創業されました。創業者は、池田さんの叔父の田中弘さんです。田中さんは北海道庁の職員でしたが、早期退職で脱サラし、小さなクリーニング業をスタートさせました。顧客の大半は病院や福祉施設で、洗うのは当時使用されていた大人用の布おむつでした。その会社にパート従業員として入社してきたのが、現社長である池田真裕子さんのお母さん、現会長の池田啓子さんです。
ある日、脱サラし起業した叔父が、「相談ごとがある」と言って訪ねてきたのです。話を聞くと、「うちの会社で、経理や総務の仕事をしてくれないか。週1日だけでもいいから」とのことです。
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【工場が40年間で半分以下に減った事情】
