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人口わずか4300人「豪雪地帯の料理旅館」がアジアのベストレストランに選ばれたワケ《100kg超のクマを解体、朝採り山菜も》

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出羽屋 外観
世界の美食家はなぜ人口4300人の山へ向かうのか(写真:筆者撮影)
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たとえば4月。春の山菜の盛りに向かう時期、コースの最初に出たのは山菜のおひたしの盛り合わせ。その日の朝に山から採って来た山菜は、あくぬきはほぼ不要で、5種類ほどの山菜の香りがどれも明確に異なることに驚かされる。採ってすぐ出せる距離でなければできない調理法だ。

出羽屋シェフズテーブルより、山菜のデモンストレーション。2023年(写真:筆者撮影)
出羽屋シェフズテーブルより、コースの最初に出された山菜のおひたし。2021年(写真:筆者撮影)

100kgを超えるツキノワグマを使った料理も

クマの脂で独活を巻いたひと品。4~5日前に仕留められた、冬眠から覚めたばかりの100kgを超えるツキノワグマ。解体を手伝った佐藤さんは、クマの体を見て「冬眠直後でもがりがりに痩せているというわけではないんだ」と感じたという。山の四季のうつろいが佐藤さんの経験値となり、実体験から得られる感性が料理に反映される。

出羽屋シェフズテーブルより、ツキノワグマの脂で独活を巻いた料理。2022年(写真:筆者撮影)

採取した自然食材を主体に料理する出羽屋のようなレストランは多くはない。自然の食材は、季節ごとに種類が変わり、収穫量も一定ではないからだ。

それでも国内では摘草料理で知られる美山荘(京都)、また海外ではフランスの「ル・スケール」、北欧・デンマークの「ノーマ」、ペルー「セントラル」などが知られる。いずれもその土地の食文化を尊重し、ここにしかない料理を提供する店として世界的な知名度を誇る。

自然食材を用いたレストランとして、今回のランキングでは出羽屋のほかにインドの「ナー(NAAR)」が30位にランクインした。インド北西部のヒマラヤ山麓カサウリにあるレストランで、カシミール含むヒマラヤの食材や発酵文化をベースに、自然環境と強く結びついた料理で知られる。

授賞式に先立って行われたスピーチ「50ベストトーク」。「ルーツ(根ざすということ)」をテーマに、5人のシェフがトークを行った。そのうちの1人、「ナー」(インド)のプラテーク・サドゥさんは「あらゆる意思決定にヒマラヤの環境が直接影響を与えている」と話していた(写真:筆者撮影)

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【自然の食材を扱う“意味”】

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