こうした要素はまさに「人間の能力をAIが補佐する」ものであり、スマートグラスで提示される価値そのものだ。
ディスプレイ付きの製品は価格が課題
とはいうものの、ディスプレイ付きスマートグラスは、まだ市場投入が始まったばかりの製品である。Meta・Even Realities・Rokidなど、いくつかのメーカーが製品を出しているが、どれも機能は異なり、価格も高い。
Metaはアメリカだと、ディスプレイのない「Ray-Ban Meta」と、ディスプレイ付きの「Meta Ray-Ban Display」の両方を販売している。機能が異なるので並列に比較はできないが、Ray-Ban Metaは安価なモデルなら299ドル(約4万8000円)から。しかしMeta Ray-Ban Displayは799ドル(約12万円)もする。
日本で発売中のディスプレイ付きスマートグラスの場合、Even Realitiesの「Even G2」が9万9800円、Rokidの「Rokid AIグラス」が、クラウドファンディング時の価格で8万9990円からだ。
翻訳やメモの機能は圧倒的に便利で未来感も高いものだが、まだ進化の途上で使い勝手にも課題が残るものに、いきなり10万円近い価格を払うのには抵抗のある人もいそうだ。さらに、メガネとして日常的に使うための「視力補正」には数万円の追加料金がかかるし、メガネほどの精度で補正できるわけでもないので、完全に眼鏡を置き換えてしまえる、という人も限られる。
ディスプレイを内蔵しないものが主流となっているのは、そのほうが安価であることに加え、「音声でも十分に便利ではある」こと、そして、AIとは関わりのない「写真や動画の撮影」機能に魅力があるからだ。
とはいえ、日常的な対話の価値を上げるデバイスだと考えると、ディスプレイ付きのスマートグラスのほうが理想的ではある。この場合には、外国語での対話やプロンプターを使ったプレゼンテーションなどを日常的に行う人が、仕事の道具として投資するデバイス……という位置付けになるだろう。
