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もはや「麻薬」としか言えない「トランプ大統領」から覚めて、世界が普通に戻るための「3つの方法」とは何か

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ラスベガスでの会議で独特のダンスを披露するトランプ大統領(写真:ブルームバーグ)
  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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悪い話には感覚がマヒし反応せず、わずかな夢に対しては、恍惚の瞬間を味わう。まさに、株式市場はラリっている。株式市場はジャンキーになってしまったのだ。

株式市場が麻薬中毒になるのは、量的緩和中毒、財政出動中毒、コロナ給付金中毒といつものことではあるが、今回は社会も「麻薬中毒」になっている。

トランプ大統領は、呼吸するように嘘を言う、という感じだったが、いまや、嘘ですらない。事実とはまったく無関係に、願望をしゃべる。いや、いまや、願望ですらなく、思いついたことを口から吐き出しているだけだ。だから、彼の意向も意図も何も関係なく、情報価値はまさにゼロなのだ。

報道機関はトランプ大統領にマイクを向けるのをやめたらいいのだ。日本国内では、高市早苗首相が、話がコロコロ変わるうえに、取材を受けたがらないので、いつのまにか、だれも首相の発言を欲しないどころか、気にしなくなった。これは、高市首相の力、影響力を確実に低下させている。

なぜトランプ大統領の影響力はまだ残っているのか

しかし、トランプ大統領は、まだそこまでは行ってはいない。その理由は、1つには、あまりに彼の発言が過激だからだ。例えば、イランとの停戦交渉決定直前に、「今夜、(イランの)すべての文明が滅び、二度と元に戻らないだろう」と発言したために、アメリカのインテリ系オールドメディアでは、非常に強い拒否反応が広がった。

独裁者を殺したり、政治体制を破壊するのではなく、文明を破壊するということは、次元が違い、何があっても許されない。この非難は強烈だった。しかし、トランプ大統領は意に介さないし、われわれ、日本にいる人間も反応しない。トランプ大統領の言葉はすべてスルー、酔っ払いがぶっ殺す、と叫ぶのと同じように扱っているからだ。

これは、日本では、政治的権力者への畏敬の念がまったくないことが関係している。アメリカでは、いまだにそれは残っていて(それならトランプ大統領を社会として選んではいけないのだが)、だからむしろ強烈な拒絶反応を示すのだ。ただ、反応してしまうのは、トランプ大統領の余命を延ばしてしまうことになるだけなのだが。

しかし、トランプ大統領の影響力が残り続けている本当の理由は、彼は実際に戦争を起こし、多くの人を戦争による死に追い込み、経済的にも関税をかける、そういう実弾を放っているから、関心を持たざるを得ないのだ。その結果、彼の影響力は残り、これに反応してしまう、トランプ中毒患者はまだ一定数残り続けており、彼らは、意思に反して結果的にトランプの影響力の維持を支えているのだ。

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【「自分が勝った」と言えることだけが重要なトランプ大統領】

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