キオクシアホールディングス(以下、キオクシア)は、今もっとも株式市場で注目されている銘柄だ。
同社はNAND型フラッシュメモリー大手で、世界シェアの2〜3割を握る。2017年、不正会計問題などで経営危機に陥った東芝からメモリー事業が切り出されて誕生した。メモリー市況がようやく上向いてきた24年12月、4年越しの悲願だった東証プライム市場への上場を果たした。
だが、そんな上場までの紆余曲折は見る影もないまでに、同社を取り巻く環境は激変している。
3月の月間売買代金は16兆円超え
今年に入り、東証プライム市場の月間売買代金は連続トップ。3月単月では16兆円を超え、市場再編後の過去最大を更新。上場時に8000億円程度だった時価総額は、4月半ばに一時20兆円の大台を突破したほどだ。足元は18兆円前後で推移している。

背景にあるのは圧倒的な成長期待だ。5月中旬に発表される今26年3月期の営業利益は約8000億円と、前期比で8割近い増益になる見込み。キオクシアが手がけるNANDの価格高騰が強烈な追い風で、来27年3月期の営業利益はそこからさらに4倍になる3兆円超という市場コンセンサスも織り込み始めている。
「これまで市況の低迷時からの上昇はあっても、すべての顧客がこれだけ値上がりしたところからさらに値上げを受け入れることはなかった。未知の世界に入っている」(同社のIR担当者)と、当事者でさえも戸惑うほどの変化だ。
だがキオクシアは、この追い風をつかみきれないジレンマを抱えている。
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