では、この危機的状況を打破するために、何が必要なのか。山崎氏は「時間だけを減らそうとする、形だけの働き方改革には限界がある」と強調する。
「国は学校と教師の業務の3分類を示し、学校以外が担うべき業務を明確にしましたが、現場の感覚としてはまだまだ不十分です。例えば登下校の見守りや地域対応などは、本来は自治体や警察が予算と人を確保して担うべきものです。年度末の教室のワックスがけなども、業者に委託せずに教員任せになっているケースが少なくありません。教員の自主性に甘えるのではなく、具体的な業務削減とそれを支える予算措置、そして何より『正規教員の増員』が不可欠です」
正規教員を増やし、教える内容を減らす必要
現在、スクールサポートスタッフの配置の拡充などが計画されているが、山崎氏はそれだけでは根本的な解決にならないと指摘する。
「サポートスタッフの方は事務的な補助はできますが、授業や担任業務を代わることはできません。1人当たりの授業持ちコマ数を減らし、学校にいる時間内に授業準備ができる環境を作るためには、授業を担える正規の教員を増やし、教科担任制などをさらに推進する必要があります」
文科省は「調整授業時数制度」などの導入で、学校現場に「余白」の時間を作ろうとしているが、山崎氏は「道徳の教科化や外国語教育など、文科省が求める『教えるべき内容』は増加する一方で、何を減らすかという議論は置き去りにされている。教える内容を減らしたうえでの余白でなければ意味がない」と釘を刺す。
働き方改革が数字上の帳尻合わせに終始し、現場の疲弊を見て見ぬふりをし続けるのであれば、日本の公教育は若手教員の離職という形で崩壊しかねない。今、求められているのは、管理のための時間削減ではなく、教育の質を支える人材を大切にするための、根本的な制度改革と予算の投入だと言えるだろう。



