「仮面高血圧」とは、病院では正常でも、家庭や職場、夜間に血圧が高い状態をいいます。病院では正常な数値が出るため、本人は安心し、医療従事者側も見逃しがちですが、実際には、心臓や脳、腎臓に慢性的な負荷がかかり続けています。
具体的にその怖さについて見ていきましょう。
2024年に発表された、26の研究・約12万9000人分のデータをまとめた大規模解析によると、仮面高血圧は成人全体のおよそ18%、つまり冒頭で紹介したように5人に1人近くに見られることがわかりました。
怖いのは、“放置した場合の代償”は決して軽視できるものではないところにあります。
同じ解析では、仮面高血圧の人は正常血圧の人と比べて、死亡リスクや心臓や脳の病気のリスクが軒並み1.5〜1.7倍に上り、腎臓病に至っては3倍を超えるという結果が示されています。
別の2024年のまとめ研究でも、心血管死亡のリスクがおよそ2倍と報告されています。健診で「正常」と言われた人の中に、実はこれだけ高いリスクを抱えた人が相当数含まれている。それが仮面高血圧のいちばん厄介なところです。
日本で問題「夜間高血圧」
さらに、日本の研究データが特に強く示しているのが、「夜間の仮面高血圧」の問題です。
2024年に発表された論文では、日中の診察室での血圧は正常でも、夜間の家庭血圧が高い人は夜間血圧が正常な人に比べて、脳卒中・心不全・心筋梗塞などのリスクが1.7倍超に上ることが示されました。
しかもその危険度は、診察室でも夜間でも高血圧が続いている人に近い水準だったと報告されました。
本来、血圧は副交感神経が優位になっている睡眠中には、自然と下がるものです。ところが、高齢者、糖尿病のある人、慢性腎臓病のある人、睡眠時無呼吸症候群がある人では、夜間に血圧が十分に下がりにくく、心臓や血管が夜も休めない状態が続くわけです。
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【怖いのは仮面高血圧だけじゃない】
