その後、2021年に改修を始めたのが神戸市兵庫区梅元町にある空き家だ。
神戸市はご存じのように高低差、坂の多い地形で、大阪方面から向かうと山陽新幹線新神戸駅の右側はもう山。駅からは明治以来、神戸市に水を送り続けてきた布引水源地水道施設に向かうハイキングコースなどがあるのだが、徒歩圏内にダムや滝がある新幹線駅も珍しいのではなかろうか。
そのため、特に神戸市の南部、兵庫区、須磨区、垂水区などの山際では空き家が多い。それ以外の市内でも空き家は広がりつつあるが、山際の斜面地の場合、傾斜に加えて住居系の規制の厳しい用途地域が多いという難がある。住宅以外には使いにくいのである。
西村さんが手がけ始めた空き家のある梅元町の最寄り、大倉山駅も新幹線の停まる新神戸駅から地下鉄西神・山手線で3駅、6分。それほど郊外ではない。駅を降りると市立中央図書館などがある大倉山公園、神戸大付属病院などもある。
だが、駅からの坂は半端ない。大倉山駅からは宇治川に沿って山に向かって上るのだが、途中から坂は厳しく、道は細く、階段がある場所もあって車はもちろん、バイクでも通行が難しいような場所もある。
歩いて25分、自転車だと10~15分というが、そもそも自転車では上がれないような坂なのだ。
“バイソン”誕生の経緯
高台で眺望が良いことから、かつては市議会議員、弁護士や医者など富裕層が住んでいたそうだが、その一角、どん詰まりの道の両側8軒がまるまる空き家になっていた。
車が入らないため、解体、建て替えをしようとすると莫大な費用がかかる。維持管理の作業に行くだけでも大変だ。それで困っていた所有者から西村さんに相談があり、8軒のうち、角から2軒目を購入。手を入れ始めた。
いずれ、他の家からも声がかかるだろうと思っていたところ、最初の家の改修を始めてから1年以内に他の7軒も購入することになった。
どん詰まりの一番奥には他の人が住んでいるものの、それ以外の道沿いはすべて西村さんの所有になったわけで、だったら、ここを村にしようと考え、名付けたのがバイソン(梅村)である。梅元町にある村だからだ。
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【改修前は荒廃していた】
