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「高齢者」の定義見直しなど…自民と維新の《連立合意書・13施策》から読み解く"今後の医療政策"

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高市首相
社会保険料は“搾取”されているのだろうか?(写真:Bloomberg)
  • 川﨑 真規 日本総合研究所 上席主任研究員
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13の施策を、「マクロ」「需要側」「供給側」「基盤」の4つの分類で整理した。それぞれの施策と、連立合意書での記載内容(要約)は以下のようになると考える。

〈分類:マクロ〉
(1)保険財政健全化策推進…インフレ下での医療給付費の在り方と、現役世代の保険料負担抑制との整合性を図るための制度的対応
〈分類:需要側〉
(4)応能負担の実現…医療費窓口負担に関する年齢によらない真に公平な応能負担の実現
(5)高齢者定義見直し…年齢に関わらず働き続けることが可能な社会を実現するための「高齢者」の定義見直し
(7)公的保険・民間保険…国民皆保険制度の中核を守るための公的保険の在り方及び民間保険の活用に関する検討
(10)第3号被保険者…配偶者の社会保険加入率上昇及び生涯非婚率上昇等をも踏まえた第三号被保険者制度等の見直し
〈分類:供給側〉
(6)地方医療介護…人口減少下でも地方の医療介護サービスが持続的に提供されるための制度設計
(8)大学病院機能の強化…教育、研究及び臨床を行う医療従事者として適切な給与体系の構築等
(9)高度機能医療を担う病院の経営安定化…高度機能医療を担う病院の経営安定化と従事者の処遇改善(診療報酬体系の抜本的見直し)
(12)営利事業見直し…医療機関の収益構造の増強及び経営の安定化を図るための医療機関の営利事業の在り方の見直し
(13)消費税見直し…医療機関における高度医療機器及び設備の更新等に係る現在の消費税負担の在り方の見直し
〈分類:基盤〉
(2)保険者機能強化…医療介護分野における保険者の権限及び機能の強化並びに都道府県の役割強化の構築
(3)中医協改革…病院機能の強化、創薬機能の強化、患者の声の反映及びデータに基づく制度設計を実現するための中央社会保険医療協議会の改革
(11)費用対効果…医療の費用対効果分析にかかる指標の確立
(注)詳細な制度設計はこれからであり、2025年度中に骨子を合意し、2026年度中に制度設計を行って順次実施していくスケジュールが示されている※3。

注目すべき2つの方向性

方向性①:「年齢」から「負担能力」へ――窓口負担の物差しが変わる

13施策の中でも、生活への影響が大きいのが「医療費窓口負担に関する年齢によらない公平な応能負担の実現」だ。

現在、75歳以上の後期高齢者の窓口負担は原則1割。一定の所得がある方は2割、現役並み所得(単身で年収約383万円以上)なら3割となっている。2割負担の対象は被保険者全体の約20%(約370万人)であり※2、3割を負担する「現役並み所得者」は全体の約7%にとどまる※4。

連立合意書では「金融所得の反映など応能負担の徹底」「年齢によらない公平な応能負担の実現」が明記された※3。つまり、年金収入だけでなく、株式の売買益や配当収入なども含めた「実質的な経済力」で負担割合を判定する方向に動き出している。

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【生涯現役社会への転換】

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