「商品への愛」が変革を阻むことがある。けれど、その愛情がなければ、改革を成し遂げることはできない――。矛盾しているようで、しかしこれは多くの老舗企業が直面している現実でもあるだろう。
「商いは牛の歩みのごとく」
復活を遂げた「赤箱」だが、発売以来、昔ながらの「釜だき製法(けん化塩析法)」で製造し続けている。この製法は職人による手作業の工程があり、60トンの石けん釜を使って、約1週間かけて作っているそうだ。同じ量を約1日で作れる「連続中和法」という製法もあるが、同工場では採用していない。
はたから見るとコスパの悪い方法に思えるが、同社では変わらずこの製法を守り続けている。
「やっぱり、うちの信念みたいなものが詰まってますね、ここには」
同社のモットーに、「商いは牛の歩みのごとく」という言葉がある。約20年にわたる低迷も、思うように進められなかった改革も、振り返ってみれば、その歩みの速さそのものだったのかもしれない。ただただ愚直に諦めず、牛のように歩みを続けた先に、令和の「赤箱」ブームが生まれていたのだった。
