「上下水道などで一気通貫の設計・建設、維持管理、運営が可能となり、建築・土木事業でのEPC(設計・調達・建設)やコンセッション事業(民間による公共施設運営)の拡大という観点でのシナジーを見込んでいる」
準大手ゼネコンの前田建設工業などを傘下に持つインフロニア・ホールディングスが5月13日に開いた決算説明会。その場で岐部一誠社長兼CEOは、4月に発表した水処理大手の水ing(スイング)の買収について語った。
荏原製作所、日揮ホールディングス、三菱商事の3社が保有する水ingの全株式を取得し、7月に完全子会社化する。買収額は912億円に上る。岐部社長の発言にあるように、インフロニアは水ビジネスにおいて経営から土木・建築、機械、電気、O&M(運転保守)までの機能を一気通貫で持つことになる。
2021年設立のインフロニアが目指すのは、国内初の「総合インフラサービス企業」だ。ゼネコン業界で主流の請負ビジネスから脱却し、インフラの上流から下流へと事業領域を広げている。M&A(合併・買収)を積極的に活用し、インフラ運営などで稼ぐ「脱請負」ビジネスを行うための企業を傘下に収めてきた。
24年に日本風力開発を約2000億円で買収し、再生可能エネルギー事業の足場を固めた。翌25年には準大手ゼネコンの三井住友建設を約940億円で完全子会社化。インフラの整備と運営がセットになった案件の獲得拡大に向け、施工能力などを引き上げる狙いがあった。
不可欠だった水ビジネスの強化
岐部社長は、「インフロニア設立時からグループに足りないものは、再生可能エネルギーの開発、コンセッションが増えてくると建設会社、水ビジネスの官民連携ではオペレーションに強い会社だった」と明かす。そこで目を付けたのが、既存株主が買い手を探していた水ingだった。
水ingは荏原製作所の水事業が発祥で、1931年に国産初の水道施設を納入した。2010年に日揮ホールディングスと三菱商事が資本参加し、11年に現在の社名となった。グループで水処理施設の設計・建設や、薬品の販売、運転維持管理などを手がけている。24年度の売上高は829億円、営業利益は68億円だった。
インフロニアが注目したのは、水ingの運転維持管理会社が抱える全国300カ所以上の拠点と、3000人以上のフィールドエンジニアだ。水ingの安田真規社長は自社の強みについて次のように述べている。
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