freeeがあえて投じた"AIエージェント"という一石の正体 SNSで異例の反響 「SaaSの死」論争の震源地で何が起きているのか
今回のサービスは、フリーが設計思想の根本から見直しを迫られた結果でもある。
「従来のSaaSは人が使うためのものだったので、人が使いやすいことに大きな価値があり、それを目指してきた。これからは人が使いやすいことではなく、AIが正しく仕事をしてくれること、その基盤であることが価値の源泉になる」(横路氏)
SaaSとは、インターネットを通じてソフトウェアをサービスとして提供するビジネスモデルの総称だ。これまでは「いかに人間が直感的に操作できるか」がサービスの優劣を左右する主要因だった。それが今や、「いかにAIエージェントが正確に操作できるか」へと価値軸が転換しようとしている。
横路氏は、雇用への影響についても率直に語る。「今後はオペレーションをAIファーストで組み立てることが求められる。コックピットのように操縦士がいれば、作業はAIエージェントが実行してくれるようになる。そのため、記帳などをしている人員は減っていく。ただし、AIはあくまで実行者であり、その結果に責任を負えるのは人間だけだ」。
現場は「10年に一度の大きな流れ」と受け止める
デジタル専門特化型の大手税理士法人、sankyodo税理士法人の朝倉歩CEOは、今回の動きを「10年に一度の大きな流れが来ている」と表現する。ただし、現時点では活用が一部の層にとどまるとも見る。
「現状は、ITに強い一人事務所の税理士が主に利用している。大手ではどう再現性をもって業務に落とし込めるかを試行錯誤しながら見極めている段階だ」
とはいえ、今後の業務への影響は不可避と予測する。「記帳などの作業をするだけの人はAIに代替されていく。一方で、AIが作業を実行してくれることでリソースが生まれる。そこで決算書をいかしたコンサルや営業が重要になる。対人能力を磨いて接客業として生き残っていかなければならない」。
こうした現場の動きの背景には、業界全体を揺るがす「SaaSの死」論争がある。
アメリカのアンソロピックが26年2月、AIコーディングツール「Claude Code」のエージェント機能を発表すると、「AIエージェントがSaaSを代替する」との見方が投資家の間で急速に広がった。
財務やマーケティングの事務作業を自動でこなすAIが普及すれば、既存のSaaSサービスは不要になるのではないか――。そんな連想のもと、SaaS企業の株価は軒並み大幅な下落局面に入った。



















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