イランとしては、いつまでも膠着状態を続ければ国際的な批判が強まるだけ。それよりは、通航を認めて通航料を徴収するほうがよい。一方、日本などの原油輸入国にとっても、供給が途絶してしまうよりも受け入れやすい。
ただし、こうした通航料を認めるのが「航行の自由」の原則からして大問題であることは、言うまでもない。国連海洋法条約は、貿易に不可欠な「国際海峡」については、他国の領海であっても一定の条件下で船舶が自由通過できる「通過通航権」を認めている。イランは批准していないが、日欧などはこれまで同条約を根拠に海峡の開放を要求する考えだった。
このような問題があるにもかかわらず、通航料方式を導入せざるをえないというのが現実だ。われわれは、こうした現実から目を背けてはならない。
通航料は日本経済にとってどれほどの負担か
もう1つの問題は、いったん通航料を認めれば、今後事態が解決した後も通航料が継続する可能性があることだ。これは、日本経済にとってどの程度の負担になるだろうか。
中東産の原油は現在1バレル当たり120ドル程度なので、1バレル当たり1ドルの通航料は原油価格の1%弱になる。ただし、これはイランが日本を「友好国」と認定した場合だ。認められない可能性もあるし、認められるにしてもどの程度の通航料を要求されるのかは、まったくわからない。
そこで、通航料を仮に原油価格の5%としよう。2025年における日本の中東からの原油・粗油の輸入額は約9兆6207億円だったので、通航料の負担額は年額9.6兆円の5%=約5000億円となる。
国家予算でいえば、 高校授業料の無償化などに関する予算規模が年間5000億円程度だ。その程度の額が日本に新たな負担として加わる。つまり、「高校授業料の無償化ができなくなる」程度の負担が加わるのである。
以上の状況を前にして日本として取り組むべき課題は、第1には産地の分散化(アラスカ産原油の可能性など)だ。これにはさまざまな技術的困難が指摘されているが、それを乗り越える努力が必要だろう。
第2には、再生可能エネルギーの増大など、エネルギー供給源の分散化だ。そして、第3に、省エネ的経済構造への転換だ。こうしたことを通じて、日本経済の構造を改革していくことが必要とされる。
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