「リスクより教育目標を優先」辺野古・研修旅行中の転覆事故《学校の重い罪》、内田良氏が指摘"学校の安全管理"の落とし穴
ただ、これは平和学習に限らないことで、崇高な教育理念を優先してしまってリスクを軽視することが起きやすくなります。
かつて流行した組み体操の巨大なピラミッドも、「一体感を醸成する」といった教育理念が、骨折等のリスクを過小評価することにつながりました。
校外学習の場合には、とりわけ新しい体験、それまでにない体験をわざわざ遠くに行ってまでやりましょうという教育目標が先立って、リスク管理を怠ってしまう。それで事故が起きれば当然、安全配慮義務違反が問われることになってくるということですね。
これまでも安全配慮義務が問われた例は山ほどあって、今回と類似の事故で言うと、2010年に浜名湖で起きたボートの転覆事故があります。悪天候にもかかわらず活動を優先した結果、豊橋市の公立中学校に通う1年生の女子生徒が亡くなりました。
裁判では、学校の安全配慮が足りなかった、研修を請け負った施設側のリスク認識が甘かったとして市などに損害賠償の支払いが命じられ、施設の元所長は業務上過失致死で有罪となりました。このときは元校長や元担任の過失は認められず不起訴となりました。
現在は「安全管理が行き届きにくい」状況
――こうしたリスクを避けようと思うと、学校では行事が少なくなったり、やらなければいいという方向にもなりそうです。
やる、やらないの答えを出す前に、まず現段階において安全管理が非常に行き届きにくい状況でやっていると言えます。
例えば、小中学校の学級は教員1人に対して子どもが35人以内、これは基本的には学校の中を想定しています。そのまま校外へ行くことには、巨大なリスクが伴うというのが私の考え方です。
もちろん担任1人ではなく副担任や管理職、養護教諭がついて行くわけですが、とはいえ圧倒的に管理が難しい状況でやっています。とりわけ小学校の学年が低い子の校外学習はリスクが高い。
だから、それでも学校がやる場合は、よっぽど安全管理をしっかり徹底したうえでやるということを考えなくてはなりません。
ところが、国もあまりそこを想定していないですね。「外での学習は普段と違う体験があって、新しい学びがある」という教育理念が優先されています。


















