例えば、近年の百貨店を見ると、一部のインバウンド向けにテナントが構成された店舗を除けば、そこに入るのは「ニトリ」や「ノジマ」、「ユニクロ」といった大型のチェーン店舗である。私は池袋の近くに住んでいるが、池袋の代表的百貨店「東武百貨店」は、まさにその最たる例だ。4階にはノジマ、6階にはダイソー、そして9階と10階はユニクロが占めている。
もちろん、従来通りブランド品を扱う店舗も多くあるが、全体として「チェーン店舗」が占める割合が増えている。その意味では「デパートのモール化」が進んでいるともいえそうだ。
そういえば、イオンモール津田沼Southにも大きめのダイソーが入っていたが、そうなると池袋東武と津田沼イオンを分けるものはなんなんだ、と考えざるを得ない。この傾向はGMSでも同様で、かつてのように自前でアパレルを持たず、モールのように外部のアパレル店舗が入居している場合も多い。
もちろん、商業施設の定義として、百貨店とGMS、ショッピングモールはまったく異なる。しかし、消費者からすれば、都合の良いチェーン店舗が入っている便利な施設、ぐらいの認識でそれらの「違い」がなくなってきているのではないか。
商業施設のキモは「編集力」
そうなると、それぞれの商業施設にとって重要になるのは、「デパートだから」とか「スーパーだから」といった業態ではなく、「どの店を入れ、どの階に何を置き、どのようなニーズに対応するのか」を考える、いわば商業施設の「編集力」になってきているといえるかもしれない。
もちろん、デパートにおいてもテナントの「編集力」が重要であることは変わりないが、その重要性がより全面にせり出してきているともいえる。
イオンモール津田沼Southもそうだろう。「イトーヨーカドーだからダメ」だったわけではなく、同店の編集力が相対的に力を失い、より強力な編集者がそこを支配するようになったのだ。そして、このことはイオンモール津田沼Southが磐石でないことも表している。入るテナントが魅力を失えば、そこはまた人気がなくなっていくのである。
イオンモール津田沼Southが「モール」を標榜しつつ、建物の構造上は「デパート」のようになっていることは、商業施設における「編集力」がよりシビアに問われるようになってきていることを表している。
地方を中心とする駅前のショッピングセンターの多くが「デッドモール」となっていることは、坪川うた氏が連載の中で明らかにしている。郊外に出店余地が少なくなりつつあるイオンなどのモールは、そうした駅前型の、いわばデパート的な建物をモール化することも今後は増えるかもしれない。
イオンモール津田沼Southの誕生は、このような変化も表しているのだ。

