台湾・馬英九元総統の側近更迭で波紋生じる国民党の対米・対中路線、党主席訪中はどうなるか

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蕭氏は馬氏グループ内で常に軍師のような存在として馬英九総統を陰で支えてきた。国民党の広報部門や総統府副秘書長を歴任し、馬氏の演説原稿や政策立案に深く関わったとされ、時に選挙戦における情報戦や世論形成にも一役買ったとされている。

馬氏が退陣した後、2018年に馬英九文教基金会が設立されると執行長(CEO)に就任。馬氏の政治的遺産、とくに中国とのパイプを維持し、台湾内での影響力を保つために活動してきた。

馬英九・習近平会談を実現させた男

その力が遺憾なく発揮されたのが、2023年と24年の馬氏の中国訪問だと言われている。裏で政治力を発揮し、馬氏と習氏の二度目の会談を実現させ、いわゆる「1992年コンセンサス」の堅持を内外に示し、馬氏の党内での影響力を最大化することに貢献したとされる。

そのような背景から馬氏から全幅の信頼を寄せられているとされ、党内主流派とされる朱立倫前主席とは一線を画した親中派勢力と見られてきたのである。忠実な「馬チルドレン」とされた蕭氏の離脱報道に、さまざまな臆測が流れた。

まず流れたのが、蕭氏の発言によって国民党と対米関係が悪化したというものだ。台湾はアメリカと国交がないが、実質的な大使館機能を担っているのがアメリカ在台協会(AIT)である。

現在の所長レイモンド・グリーン氏の発言は、しばしばアメリカ政府の台湾に対する公式見解と受け止められている。そのグリーン氏の発言を、蕭氏が「彼はアメリカ国務省の課長級官僚に過ぎない。それにもかかわらず台湾の内政に干渉している」と公然と批判したのである。

これがアメリカ側の強い不快感を招いたとされ、アメリカ側が馬氏に対し「蕭氏の発言は馬氏の本意なのか」と問題視したとの見方が広がった。馬氏は台湾では親中派に分類されるが、一方で、ハーバード大学で博士号を取得した親米派でもある。そのため、過度にアメリカを刺激したくない馬氏にとって、蕭氏は制御不能な存在になったのではないか、という臆測だ。

次に流れたのは、11月の統一地方選への影響を考慮した党内圧力によるものだ。

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