56年ぶり米国民主主義「格下げ」の衝撃 世界を覆う専制主義の波と、日本の足元に迫る危機

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特に「権力の制約」は民主主義の核心だが、日本では「お上意識」や「ムラ意識」が根強く、権力への批判が疎まれがちである。

「権力は腐敗する」。本来、メディアがその牽制役を担うべきだが、その役割を十分に果たせていない。

そうなると、民主主義を守りうるのは、主権者である国民しかいない。権力者が誤った方向に向かうとき、それを止められるのが民主主義の最大の利点である。

歴史上、それができずに生まれた悲劇は枚挙にいとまがない。私たちも民主主義を守る努力を怠ってはならない。

民主主義復権への期待はあるか

世界中で専制主義的傾向が強まるなか、民主主義は生き残れるのだろうか。ここまで見たように、日本を含む多くの国で民主主義の基盤が揺らいでいる。

しかし同時に、世界全体を見渡すと、小さくとも確かな前進を示す動きも存在する。

2025年時点で、民主主義に向かっている国は18カ国に上る。専制主義に向かっている国は44カ国なので、数としては少数派だが、モーリシャス、ボツワナ、グァテマラといった国々が新たに加わった。

規模の大小にかかわらず、民主主義への歩みを選択する国が存在することは、国際社会にとって重要な意味を持つ。成功するかどうかは未知数だが、こうした動きは確かな希望である。

そして、もうひとつ注目すべきは米国のレジリエンス(復元力)だ。米国には民主主義を立て直す力が依然として残されている。

今年秋には中間選挙、2028年には大統領選挙が控える。米国の選挙制度は複雑で課題も多いが、V-Demの報告書も「選挙に関する民主主義の要素は安定している」と、数少ない肯定的な評価を示している。

この選挙で、米国の権威主義化を押しとどめる民意が示されるかどうか。米国の選択は、米国自身のみならず、世界の民主主義の行方に大きな影響を与える。まずは中間選挙に注目しつつ、米国民が持つ民主主義精神とレジリエンスに期待したい。

武居 秀典 国際情勢アナリスト

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たけい・ひでのり / Hidenori Takei

一橋大学卒業。三菱商事で主に調査・分析業務に従事。調査部長や北京現地法人社長を歴任。
ロンドン、ニューヨーク、北京などに計14年間駐在。
2023年同社退職後、企業向けアドバイザーや研修講師などを務める。

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