56年ぶり米国民主主義「格下げ」の衝撃 世界を覆う専制主義の波と、日本の足元に迫る危機

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こうした行動は、米国が「民主主義」という共通価値を軸に国際秩序を主導する国ではなくなりつつあることを示唆するだけでなく、結果として、世界における専制主義の拡大を後押ししている。

もはや「米国を中心とする西側先進民主主義国」対「中国・ロシアなどの専制主義国」という従来の構図は成り立たない。現在の米国を従来の前提で理解し、その行動を予測しようとすれば、世界情勢を読み誤る。

日本の民主主義は大丈夫か?

米国の民主主義の後退は、同盟国にも影響を及ぼしている。米国に最も近い英国は1919年に「自由民主主義国」となり、民主主義国の象徴的存在だった。

しかし2024年、105年ぶりに「選挙民主主義国」に格下げされた。メディアの独立性の後退、議会・司法のチェック機能の低下、表現の自由への懸念などが要因とされるが、米国の影響がないとは言い切れない。

では、日本はどうか。日本は、1952年のサンフランシスコ条約発効とともに「自由民主主義国」となり、2025年までその地位を維持している。しかし詳細をみると、決して安心できる状況ではない。

●「メディアの自由」:記者クラブ制度によるアクセスの不平等、政府・官庁からの圧力の高まり、政治報道における自己検閲の増加などにより、2010年以降低下。
●「行政権力の制約」:議会による行政監視の弱体化、行政文書管理の不備、情報公開制度の低い実効性などにより低下。
●「行政府による憲法尊重」:2014年に大幅に低下し、その後も回復せず。
●「市民社会の参加」:政党候補者選出の閉鎖性、市民団体の活動環境の悪化などにより緩やかに低下。

いずれも、思い当たる点が多い。最近でも、政府の国会軽視による強引な予算案審議が問題となった。日本では、制度などの形式的な民主主義は維持されていても、意識の面で民主主義的価値が徐々に損なわれているのではないか。

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