超音速ミサイルが暴いた「絶対防衛」の虚構 矛も盾も弱体化しつつあるアメリカ軍事力の行方

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しかし問題は、「なぜこのような事態に至ったのか」である。アメリカの国家予算はほぼ1000兆円に達し、軍事予算はその10%にすぎないかもしれないが、それでも日本の国家予算と同額であり、世界最大の軍事国家である。世界の軍事予算を半分を占めているともいわれるアメリカが、なぜこうした不均衡に陥っているのか。

その原因の1つが、野心ある政治家にとってアメリカ国内が、自らのあり余る優越願望を昇華させる場所でなくなったからである。

軍事的優位に経済的優位をも失いつつあるアメリカ

巨大な財政赤字による国家予算は、膨大な国債発行(累積約40兆ドル)によって成り立ち、慢性的貿易赤字と企業の海外移転と資本投資によって部品や原料などを海外に依存する経済体質は武器の生産にも波及し、武器の開発を諸外国に依存するという体質によって武器の価格は高騰している。

それでも可能であったのは、IMF(国際通貨基金)によるドル体制、軍事的支配があったからだ。しかし今回のイランへの攻撃は、イランの反撃を生み出し、防衛システムという守りを破壊した。王様は裸であったことに気づかされたのである。

しかしイラン問題は、ウクライナ問題と同様、戦争という枠を超えている。軍事的優位のみならず、経済的優位についても反撃を生み出しているからである。

国際通貨としてのドル体制が崩壊すれば、アメリカは一挙に破滅的国家へと変貌することになる。そのカギは、石油とドルだ。その余波は、遅かれ早かれ、日本を含む西側諸国に波及するだろう。

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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