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「机上には、書きかけの原稿」朝ドラ「ばけばけ」セツに看取られ54歳のハーンは"遠い旅"へ

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  • 真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)
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だが、同時に「余り喜ぶの余り又心配です」ともこぼしている。

大きな喜びは、時に大きな悲しみを連れてくる。それが、ハーンが波瀾万丈の人生から得た教訓だったのかもしれない。

セツの語りが生んだハーンの「再話文学」

この西大久保の家で、ハーンは来訪者との面会も避け、精力的に執筆活動を行っている。セツがあちこちを訪ねて聞いていた民話を、ハーンに語る。おのずとセツが好きだった怪談を語ることが多くなったようだ。

手順は次のようなものだったという。「ヘルン」とは、ハーンのことである。

「私が昔話をヘルンに致します時には、いつも始めにその話の筋を大体申します。面白いとなると、その筋を書いて置きます。それから委しく話せと申します。それから幾度となく話させます」

話を収集するにあたっては、ただ聞いて回るだけではなく、新聞や雑誌も隅から隅まで目を通してまで、不思議な話や幽霊が出る話を探したセツ。そこからハーンが好みそうなものを選んで語って聞かせたという。

当初、セツは本を読みながら話そうとしたが、ハーンからはこう言われてしまう。

「本を見る、いけません。ただあなたの話、あなたの言葉、あなたの考でなければ、いけません」

セツはさまざまな方法で収集した話をいったん自分の物にしてから、アウトプットしなければならなかった。セツが「夢にまで見るようになって参りました」と振り返っているのも、無理はないだろう。

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【夫婦で作り上げた傑作】

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