社会的地位あっても不正に手を染めてしまう…「ホワイトカラー犯罪」なぜ起こる?4つの抜本的対策

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不正競争防止法 第2条第6項における営業秘密の要件

これら3要件の中で裁判上最も争いになる頻度が高いのが秘密管理性である。

経済産業省の営業秘密管理指針によれば、秘密管理性要件が満たされるには、企業の秘密管理意思が、具体的な秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、従業員等の認識可能性が確保される必要があるとされている。

では、裁判所が認める秘密管理性要件とは何か? 2025年に判決が言い渡された実際の裁判例から、秘密管理性が認められた判例と、棄却された判例から考察する。

秘密管理性が認められた判例

まず、秘密管理性が認められた3つの判例を紹介する。

1. 競馬情報提供会社の事例
競馬の予想指数を作成するプログラムやデータベース、顧客管理名簿などが、不正競争防止法上の「営業秘密」として認められた民事訴訟。

<評価された秘密管理体制>
アクセス権の確実な管理:情報は「社外秘」とされ、社内コンピュータ等に格納されていた。業務の必要性から従業員全員がアクセス可能であったが、システムへのアクセスには「社内IDとパスワードの入力」が必須とされていた。

退職者への迅速な対応:退職者が発生した場合には、「一斉にパスワードが変更される」という厳格な運用が実施されていた。この運用により、権限のない者がアクセスできない状態が適切に維持されていると評価された。

2. 国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の事例
産総研の研究員が、へプタフルオロイソブチロニトリルの合成技術情報(ノウハウ)を海外企業に漏洩したとして、不正競争防止法違反に問われた刑事事件。裁判所は、このノウハウが秘密管理性を有する「営業秘密」であると明確に認定し、有罪判決を下した。

<評価された秘密管理体制>
物理的・技術的な漏洩防止措置:職員以外が立ち入ることができないよう研究施設を施錠し、パソコンも「職員固有のパスワード」を入力しなければ使用できず、離席時には一定時間でロックがかかる仕様にするなどの厳重な措置がとられていた。

規程の整備と秘密の特定:「成果物規程」において、すべての研究成果物について秘密保持義務を定めていた。また、公表したり第三者に提供したりする場合には産総研の承認が必要であるなど、秘密保持義務や秘密管理の方法を明記していた。

研修を通じた従業員への周知徹底:職員全員に秘密保持に関する研修の受講を義務付け、秘密として管理されるべき情報の範囲や管理方法を周知徹底していた。

これにより、職員が「これは秘密として管理されている」と客観的かつ明確に認識できる状況にあったことが評価された。

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