「バッテリー24時間」で批判されたバルミューダ「The Clock」、便利さでは測れない"時間の質"という価値

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そう考えると毎日、就寝前にベッドサイドで電源につなぎ、(あるいはキャンプ中なら発電機やポータブル電源につなぎ)充電するという、わかりやすいサイクルで充電を習慣化したほうが、むしろ親切だと考えるのは筆者だけだろうか。

なお、The Clockは、電池残量が1/6になると、時計機能とアラームを維持するため、自動的に省電力モードに入り、秒針を省いたシンプル表示に切り替わり、充電LEDおよび“月LED”と“太陽LED”の交互に点滅して知らせてくれる。

20年ぶりに訪れた静けさ

試作品が自宅に届いてから数ヵ月、寺尾氏の暮らしに2つの変化が起きたという。

1つは夜の過ごし方だ。リビングでRelax Timeをかけるようになってから、“光る画面”を見る気がしなくなったという。それまで習慣的に開いていたタブレットを、いつの間にか手に取らなくなり、代わりに本を読むようになった。柔らかな雨音とゆらめく光の中では、ソーシャルメディアのタイムラインよりも、紙の上の言葉のほうがずっと自然に感じられるとのことだ。

もう1つは寝室での過ごし方の変化だ。The Clockを枕元に置くようになってから、スマートフォンをリビングに残したまま眠るようになった。アラームのためだけに毎晩持ち込んでいたソーシャルな装置が、寝室から消えた。「ソーシャルなものが寝室にない状態で眠るのはだいぶ久しぶりでした。すごく気楽で、解放感が素晴らしかった」と寺尾氏は語る。

我々は今、スマホの画面を常に埋め尽くす通知、“アテンション・エコノミー”の時代を生きており、便利であるはずの機械に、いつの間にか穏やかな時間を奪われてしまった。

寺尾氏は、冒頭で触れたアンバー・ケース氏のカーム・テクノロジーの話にも強く共感を抱いていた。

我々を取り囲むデジタルライフスタイルは、“便利さ重視”から“豊かさ重視”へ変わっていくべきなのかもしれない。

賛否の分かれた同製品の評価。ただ、スマートフォン普及で時計はもはや必要性のない道具。そんな中、時間の概念を見直させるオブジェとしての同製品に共感を示す人もそれなりにいるはずだ(写真:編集部撮影)
林 信行 フリージャーナリスト、コンサルタント

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はやし のぶゆき / Nobuyuki Hayashi

1967年、東京都出身。フリーのジャーナリスト、コンサルタント。仕事の「感」と「勘」を磨くカタヤブル学校の副校長。ビジネスブレークスルー大学講師。ジェームズダイソン財団理事。グッドデザイン賞審査員。「iPhoneショック」など著書多数。日経産業新聞「スマートタイム」、ベネッセ総合教育研究所「SHIFT」など連載も多数。1990年頃からデジタルテクノロジーの最前線を取材し解説。技術ではなく生活者主導の未来のあり方について講演や企業でコンサルティングも行なっている。

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