「バッテリー24時間」で批判されたバルミューダ「The Clock」、便利さでは測れない"時間の質"という価値

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これらの光は、ただ時刻を表すために使われるのではない。すでに触れた時報時の振り子のアニメーションにも使われれば、Relax Timeでは遠くの街の灯りが夜霧の中でかすかに明滅するような、あるいは晴れた夜空の星々が大気の揺らぎの中でふるえるような、不規則なアニメーションが表示される。

「星々の煌めきとか、遠くの街の灯りは揺れますよね。あの感覚をここで出したかった」と寺尾氏が発案した。

作り込まれた“モノ”としての愛おしさ

この音と光による多彩な演出は、見た目にはデジタルを感じさせない削り出した無垢なアルミの塊に収められている。手のひらの中でずっしりと主張する重さ約259グラムで、決して軽くはなく、適度な材質の密度が安心に近い感覚を呼び起こす。

質量のない時間という概念。それを情報化したデジタル表示。これらが希薄な存在だからこそ、BALMUDAは、安心できるしっかりとした重みでその物質化を試みたのだろう(写真:編集部撮影)

表面はテクスチャーブラストとアノダイズ処理を幾重にも重ねることで、光沢がありすぎず、マットすぎない絶妙な仕上がりだが、これは寺尾氏が「これより光沢があってはいけない、これよりマットであってもいけない」と、ごく狭い範囲を厳命して生み出したという。実は文字盤のあるフロントパネルと操作ボタンが配置された製品フレームは個別のパーツになっているが、合わせ目はほぼわからない。一体に見せるため、とことんまで調整したという。

その操作ボタンも0.05ミリ単位で設計された。押した際の感触、ストローク、戻り――それらすべてが、この数字の精度のうえに成立している。

200を超えるパーツが精巧に組み合わさることで、デジタルな動きとは関係のない精密さ、正確さを感じさせるが、それでいて正確な「時刻」よりも感覚的な“時間の流れ”に重点を置いた製品であるというギャップが面白い。

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