「バッテリー24時間」で批判されたバルミューダ「The Clock」、便利さでは測れない"時間の質"という価値
Timerは最大60分まで設定できるカウントダウンにホワイトノイズを組み合わせたものだ。
人間の集中が途切れる最大の原因は雑音だと言われている。洗濯機の終了音、遠くの話し声、そして最も致命的なのが自分の名前を呼ばれること。意識が完全にそちらへ向いてしまうからだ。
The Clockは、そうした音を音でかき消す。“ホワイトノイズ”という特定の周波数に偏らない均一なノイズを敷くことで、周囲の雑音を聴こえにくくする“マスキング”の機能を用意した。ただのホワイトノイズでは耳障りだと、ミュージシャンの経歴を持つ寺尾氏がレコードの「プチプチ」という針音を2種類混ぜて作成した(1種類だと周期性を感じてしまうらしい)。細部への執着は、こんなところにも宿っている。
そして寺尾氏一番のお気に入り機能が、夜の利用を想定したRelax Timeだ。雨の音、川を行く小舟のオールが水面を打つ音、暖炉の薪がはぜる音、森の朝の気配――社内デザイナー、外部ミュージシャンによるチームが制作したオリジナルのサウンドトラックが、いつもの部屋を別の空間に変える。
この3つの体験を支えているのが、音と光という、2つの原始的な感覚と真摯に向き合うことだ。
音でゆったり時間の空間を生み出す
The Clockと、一般的な置き時計では1つ、決定的な違いがある。置き時計は文字盤が見える正面にいる人にしか役に立たない装置だが、先に紹介したThe Clockの3つの機能は、いずれも文字盤の裏側に(さらには部屋の少し遠くに)座っていても享受できるものだ。
同製品は一辺7.5センチという小さな筐体の中に、ウーファーとツイーターをそれぞれ備えたステレオスピーカーが収められている。しかし、音響設計の要諦は、スピーカーの存在だけにあるのではない。背面パネルをキャビネットとして密着させ、低音をそこで共鳴させることで、音場に前後の奥行きが生まれる構造になっている。
高音はツイーターから、低音はウーファーと背面から――その立体的な音の配置が、小さな筐体から生まれているとは到底思えない空間を作り出し、その音が届く範囲(それなりに広い)に、別の時間が流れ出す感覚を生んでいる。





















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