「バッテリー24時間」で批判されたバルミューダ「The Clock」、便利さでは測れない"時間の質"という価値

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物理法則が刻む時間の律動を、光の動きへと翻訳したこの動きを生み出すために、製品のデザインチームは国立科学博物館まで足を運び、フーコーの振り子――地球の自転を静かに証明し続けるあの装置――を長い時間をかけて観察したという。

現代ではすっかり珍しくなった時報。寺尾氏は話す。

「時報が鳴ると、1日の中にリズムが生まれてきます。時報をうるさいと思うことって意外とないような気がします」

そういえば、ヨーロッパの街では教会の鐘が、東京の銀座なら和光の時計塔が正時に音を鳴らす。現代社会では、すっかりそうした時報は減ってしまったが、それでも全国の小中学校で夕方5時のチャイムが鳴るのを聞いて「もう、そんな時間か」と仕事に区切りをつける人は少なくないだろう。人々に何かをしろと押しつけるのではなく、そっと肩を叩くような――ああ、もうそんな時間か、と顔を上げさせてくれるような、そんな特性が時報にはある。

The Clockの時報も、そういう性格のものだ。通知ではなく、気配。アラートではなく、流れた時間の量を、時折、気づかせてくれるための優しいお知らせとも言えるかもしれない。

朝・昼・夜──時間の質を整える3つの機能

The Clockには、これ以外にも時間の質を高めるための“Alarm”、“Timer”、“Relax Time”という3つの機能が備わっている。それぞれ1日の始まり、中間、終わりの時間の質を整えるために用意されたものだ。

朝のための機能、Alarmは、設定時刻の3分前から環境音をごく小さく流し始める。ほとんど気づかない音量で、しかし眠っている身体はその変化を感じ取り、ゆっくりと意識の浅瀬へと浮上していく。そして、アラームが鳴るころには、すでに体が起き始めている。

寺尾氏が好きな街、ミラノの夜明け。街が少しずつ動き始める音――蒸気が漏れ、遠くで列車が動き出し、自転車が走り始め、どこかでドアが開く。「街が朝目覚め始める時の感覚が好きで、それを再現したかった」と寺尾氏。乱暴に引き剥がされる目覚めではなく、世界の側から静かに誘われる目覚めを目指した機能に仕上がっている。

アラーム機能では“心地よい目覚め”を意識した(写真:バルミューダ)
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