実は16歳でもなれる"船長" 辺野古転覆事故で露呈した「安全管理体制」なきマリンレジャーの死角
修学旅行中の生徒が犠牲となった点で学校側の責任も論じられている。通常、修学旅行は旅行代理店が企画・手配し、運送・宿泊・体験活動等に関する安全管理はそれぞれの業法に規定があり、契約関係の中に盛り込まれている。すなわち、学校は旅行業者を通じて一定水準の安全性が確保されたサービスを利用し、保険加入等の万一に備えての補償制度もあるのが一般的である。
しかし本件では、学校サイドと船長である牧師との人間関係に基づいて手配された可能性が指摘されている。この場合、通常の旅行契約の枠外で活動が組み込まれたことになり、制度的な安全チェックやリスク回避策が十分に機能していなかったおそれがある。旅行代理店であったら今回のような市民団体に運行を依頼することはなかったであろう。
学校は生徒に対して「安全配慮義務」を負う。これは単に校内に限られず、修学旅行などの校外活動にも及び、参加プログラムの危険性を予見し、適切な回避措置を講じる義務を負うと解されている。したがって、生徒を海上での活動に参加させる場合には、運航主体の資格や経験、出航条件、救命体制などについて、十分な確認が求められる。
常に海の事故は起きている
海の事故は枚挙に暇がない。悪天候による事故に加え、見張り不十分による衝突はよくニュースになるし、航路を誤ると浅瀬や岩礁に乗り上げる危険がある。
大型船でも、2012年にイタリアの大型客船コスタ・コンコルディアが座礁して32名が死亡した事故や、23年に海上自衛隊の護衛艦「いなづま」が山口県沖で座礁して自力航行できなくなった事例がある。今月19日には沖縄県石垣港沖で海上保安部の巡視船「たけとみ」が浅瀬に乗り上げる事故を起こしている。
また、第三者に被害を与えた例として、20年に猪苗代湖でプレジャーボートが高速で航行中に水上にいた3人に突っ込み、死傷させた事故がある。22年の知床遊覧船の事故も記憶に新しい。
今回の事故を教訓とした課題としては、第一に、プレジャーボート利用と許可が必要な事業の境界を明確化し、実態に応じた規制を的確に適用すること。第二に、安全に人を運ぶための船長の資格である特定操縦免許の周知を徹底すること。第三に、修学旅行等における旅行代理店との契約以外の手配について制度的に明確化することが挙げられる。
辺野古沖の事故は、制度の隙間に潜むリスクを顕在化させた事例であり、その教訓は広く共有されるべきである。
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