携帯5社が相互接続する「JAPANローミング」開始、災害時でも通信を確保する新基盤の実力と"発動まで数時間"という最大の弱点
やっかいなのは緊急通報のみ方式だ。こちらは自動では切り替わらず、手動でネットワークを選択する必要がある。設定画面からネットワークの「自動選択」をオフにし、表示されるリストからドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルいずれかの他社ネットワークを選ぶ。画面には「圏外」と表示されたままだが、その状態で110番や119番に発信すると、つながる場合がある。1回でつながらなくても、繰り返し発信してほしい。操作手順は各社が動画などで周知を進める予定だ。
もう1つ忘れてはならないのが、ローミング終了後の設定復旧だ。手動で他社ネットワークを選択した場合、災害が収まった後に必ず「自動選択」に戻さなければならない。戻し忘れると、平常時の通信が使えなくなる。
JAPANローミングと並んで、災害時の通信手段として期待されるのが衛星通信だ。KDDIはすでに「au Starlink Direct」を提供しており、ドコモ、ソフトバンク、楽天モバイルも2026年度中に衛星通信を開始する予定である。ただし衛星通信はまだ緊急通報に対応しておらず、音声通話もできない。JAPANローミングは音声通話にも対応し、データ通信速度も衛星より速い。両者は競合ではなく補完関係にある。
KDDIでは衛星とローミングの使い分けも想定している。緊急通報のみ方式が発動された場合、Starlink Directではデータ通信を優先的に提供し、緊急通報はJAPANローミング側で対応する。フルローミング方式では、電波環境に応じてStarlinkか他社回線かを自動で切り替える。音声での救助要請にはJAPANローミングが欠かせない。
発動までの「空白時間」が最大の課題
JAPANローミングの弱点は、災害発生から発動までに数時間かかる点だ。各社は「すみやかな協議で短縮していきたい」としているが、具体的な基準値は公表されていない。
首都直下地震や南海トラフ巨大地震のような広域災害では、まさに発生直後の数時間が生死を分ける。この空白をどう埋めるかは、今後の運用改善に委ねられている。
現時点でできる備えは、OSやソフトウェアを常に最新に保つこと、自分の端末がJAPANローミングに対応しているか確認すること、そして緊急通報のみ方式の操作手順を頭に入れておくことだ。災害時には各社のホームページやSNSでJAPANローミングの発動状況が告知されるが、そもそもネットにつながらない可能性もある。避難所でのチラシ配布も予定されているという。
4月1日のサービス開始は、あくまでスタートラインである。携帯電話がライフラインとして機能するために必要な仕組みが、ようやく整い始めた。
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