「東京に行きたがるセツ、渋るハーン」朝ドラ「ばけばけ」地獄の東京にハーンが長く住み続けた背景
ハーンからすれば、そこまで自分の著作活動を評価されれば、心も動くというものだろう。おまけに外山は「熊本でのような不愉快な経験はさせないから」とも伝えている。これまでハーンが転々とした経緯も、よく理解していたのだろう。
外山のハーンへの高い評価が決してうわべではないことは、条件面からも明らかだった。月俸は400円と、熊本に比べて2倍にも上った。しかも、講義は1週間に12時間と授業数は半分になるのだから、かなりの好待遇だ。
著作活動を精力的に行いたいハーンにとっては、これ以上ない条件だといってもよいだろう。妻のセツの後押しもあり、ハーンは東京行きを決意することとなった。
どうしても寺に住みたくて僧侶になりたいとも
朝ドラ「ばけばけ」では、3月16日放送分から東京編がスタート。ヘブン先生こと、小泉八雲が出勤時に急ぐ姿が描写された。それを見ていたトキの父・司之介が「帝大の近くに住んだらこげに急がんで済むのに」と思わず口にする場面があった。
実際に八雲は東京で住まいを選ぶにあたって、できるだけ学校から離れて町はずれに住もうとしていたのだという。
ただ、よい物件が見つからなかったため、牛込あたりの一軒家が候補に挙がった。寺のような佇まいの日本風な家屋で、広さも十分。八雲は「面白いの家です」と気に入ったが、セツはこんなふうに振り返っている。
「庭もかなり広くて大きな蓮池がありました。しかし門を入りますから、もう薄気味の悪いような変な家でした」
セツがどうしても抵抗感があったため、この物件は見送ることにした。あとで化物屋敷として有名な家だったと知ったセツ。家賃はどんどん下がっていき、やがてつぶれてしまったのだという。そんな顛末をセツが伝えると、八雲はこう言ったという。
「ああ、ですから何故、あの家に住みませんでしたか。あの家面白いの家と私思いました」
結局、富久町にある高台で見晴しのよい家で住むことを決める。山寺がすぐ近くにあったのが気に入ったポイントだったらしい。引っ越すと、夫婦の散歩コースとして組み込まれた。





















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