産油国はどこまでホルムズ海峡を回避できるか、輸出が長期にわたり混乱すれば世界的なインフレの波を引き起こす恐れ
スターマー英首相は同盟国とともに選択肢を検討すると述べたが、英国も全面的な海軍任務への参加を確約するには至っていない。フランスのマクロン大統領は、中東での戦況が落ち着いた後、タンカーやコンテナ船を護衛する共同の海上任務を立ち上げる考えを示している。
船団方式の護衛作戦は複雑で、ドローンやミサイル、さらには機雷の脅威から船舶を守るために海上・航空戦力の組み合わせが必要となる。海峡が狭いことも難易度を高める要因だ。仮に護衛が実施され、航行が再開したとしても、ホルムズ海峡の両側に滞留している船舶の渋滞解消には数週間かかる可能性がある。
機雷除去ドローンは救世主となるか
ホルムズ海峡の安全を確保するために、機雷除去ドローンを活用する動きもある。だが実際には、これも現状を大きく変えるほどの効果を発揮するのは難しい。
こうした自律型の機雷掃討艇を使えば、人間は機雷原に近づかないで済む。ただドローンはバッテリー容量が限られているほか、人間の操縦者と常時通信していない場合は、データをアップロードするために母船へ戻る必要がある。
そのため、結局はドローンを操作する母船は機雷探索エリアに近づく必要があり、イランの対艦ミサイルの射程内に入るリスクを冒すことになる。
従来、多くの海軍は有人の掃討艇を保有しており、ソナーなどの探知手段を用いて機雷を発見し、破壊するための位置を特定してきた。ただし、こうした艦船は比較的小型で武装も限定的であり、対艦ミサイルのような他の脅威が存在しない環境での運用を想定して設計されている。
そのため、無人で水上や水中を進むドローンを使った機雷探索が代替手段として開発された。事情に詳しい関係者によれば、英国はこうした自律型装備を同盟国とともに展開し、支援できるかどうかを検討しているという。
産油国はどこまでホルムズ海峡を回避できるか
クウェート、カタール、バーレーンには、輸出のための代替海上ルートがない。
イランの石油輸出の大半はペルシャ湾北部のカーグ島から出荷されている。米国はカーグ島の軍事施設を爆撃したが、石油インフラは攻撃対象から外したとしている。
ホルムズ海峡経由の輸出量が最も多いサウジアラビアは、国内を横断して紅海沿岸の積出港へとつながる全長746マイルのパイプラインを利用し、輸送を振り替えている。東西パイプラインは1日最大700万バレルをヤンブー港へ送る能力があり、サウジアラムコはフル稼働を目指している。ただし紅海も安全とは言えない。イランが支援するイエメンのフーシ派武装勢力が、この海域での船舶攻撃を再開すると警告しているためだ。
UAEも一定程度は、ホルムズ海峡を回避できる。ハブシャン・フジャイラ・パイプラインは、油田からオマーン湾沿いのフジャイラ港へ原油を輸送し、1日150万バレルの輸送能力を持つ。ただしフジャイラ港はドローン攻撃による混乱に見舞われたことがあり、リスクは残る。
イラクには、クルド人自治区からトルコのジェイハン港へ通じるパイプラインがある。しかし、エネルギーインフラがイラン戦争の標的となる可能性を踏まえ、関係者によれば予防措置として同ルートでの輸出は停止されている。このパイプラインはイラク北部油田の原油しか輸送できないため、イラクの原油輸出のほぼすべては依然としてホルムズ海峡経由で行われている。
著者:Julian Lee
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