「間違った地図」でなぜ部隊は生還できたのか? 正論より"物語"がリーダーに必要な決定的な理由
一般的なビジネスプレゼンテーションは「合理・事実」を「メッセージの明示」によって伝えます。しかし、箇条書きだけではその背景にある文脈(コンテキスト)まで伝えることは難しく、聞き手は自分の枠組みの中でしか解釈できません。
一方、ストーリーテリングは「情理・感情」と「メッセージの暗示」に位置します。主人公の心理的な変化による感情の追体験が見えることで、背景に流れている文脈と意味が共有化されやすくなるのです。
人の感情を動かす「物語」の力
心理学の実験からも、ストーリーが行動に与える影響が明らかになっています。ペンシルベニア大学のデボラ・スモール教授らが行った寄付に関する実験では、被験者を2つのグループに分けました。
一方には寄付金を必要とする特定の個人のストーリーを伝える文章が渡され、もう一方には寄付金の必要性を示す統計的事実を伝える文章が渡されました。
前者には「7歳の少女ロキアは極度の貧困に苦しみ、餓死の危機に直面しています」と記されており、後者には「マラウイでは300万人以上の子供たちが食糧不足にあり、ザンビアでは300万人が飢餓に直面しています」といった統計データが並べられていました。
実験の結果、前者のストーリーを読んだ人は後者の統計データを読んだ人の2倍以上の金額を寄付したのです。事実だけを淡々と説明されるより、ストーリーで思いを込めて語られた方が、私たちの感情は動くことがわかります。
ストーリーは、メンバーとのつながりを築くうえでも有効であり、リーダーとメンバー間の信頼関係を構築する有効な手段としても活用できます。語り手と聞き手の脳の活動を観測すると、ストーリーが語られているときに、両方の脳の活動が神経同期(カップリング)することが発見されました。



















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