「間違った地図」でなぜ部隊は生還できたのか? 正論より"物語"がリーダーに必要な決定的な理由

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こうした見通しの困難な状況下こそ、リーダーはストーリーによって積極的な意味づけを行い、メンバーの自発的な行動を引き出すことが必要です。組織心理学者のカール・ワイク氏は、起きている事象に意味づけを行い、ステークホルダーの納得(腹落ち)と行動を引き出すことで、組織活動の前進に力を与えるプロセスをセンスメイキング理論と名づけました。

なぜ、間違った地図で生還できたのか

ワイク氏が好んで紹介する、「ハンガリーの偵察隊」の物語をご紹介しましょう。

《それは、スイスでの軍事機動演習のときのことです。ハンガリー軍の中尉は、アルプス山脈で偵察隊を凍てつく荒野へ送りだしましたが、その直後に雪が降り始め、偵察隊は3日間戻ってきませんでした。しかし3日目にその部隊は戻ってきたのです。彼らがいうには、「われわれは迷ったとわかって、もうこれで終わりかと思いました。そのとき隊員の一人がポケットに地図を見つけました。おかげで冷静になれました。それからその地図で帰り道を見つけ出し、ここに着いたわけです」とのことでした。中尉が、この命の恩人となった地図を手に取ってじっくりとながめると、驚いたことにその地図はアルプスの地図ではなく、ピレネーの地図であったのです。》

なぜ、間違った地図で生還できたのでしょうか。それは「この地図があれば帰れる」というストーリーを皆でセンスメイキング(納得・腹落ち)したことで、彼らは命を懸けて猛吹雪の中、自発的かつ継続的なアクションに移すことができたからです。

現代のリーダーにとっても、完璧な正解(ロジック)を出すことよりも、メンバーが「それならばやってみよう」と思える意味のある物語を提示することの方がはるかに重要なのです。

「伝えているのに伝わらない」というジレンマを抱えるリーダーは、多くいます。そこには、プレゼンとストーリーの持つ特徴、違いを知る必要があります。

プレゼンは、「私が伝えたいことは3点あります」というように結論からメッセージを示し、論拠や事実を箇条書きで端的に説明する、短い時間で必要なことをシンプルに伝える効率的な手法です。

一方、ストーリーテリングは、事実よりも話し手が「私はこう思う」といった主観を大切にし、メッセージに喜怒哀楽といった感情を込め、結論にたどり着くまでの心情の変化を一連のコンテキストとして明示する点が大きく異なります。

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