【産業天気図・石油】原油価格は底堅く推移する公算大きく、「晴れ間」広がる

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石油業界は原油価格上昇の恩恵を満喫、相次いで2007年度業績見通しの上方修正に踏み切った。欧米の年金基金など、長期資金が国際商品市場へ流入していることを背景に、油価は米国のガソリン需要ピークアウト後も底堅く推移している。これを受け、前回「曇り」と見ていた天気予測を修正、08年度前半まで「晴れ」の天気が続きそうだ。ただ、国内の石油製品需要は頭打ち状態で「雨雲」が広がる可能性も残る。
 業界最大手、新日本石油<5001>の07年度営業利益は、前期比約48%増の2370億円と期初予想(1900億円)から大幅に上振れする見通しだ。原油在庫の評価に総平均法を採用しており、期中の原油価格上昇で「在庫評価益」が当初計画の180億円から640億円へと大幅に増加するのが主因。在庫影響を除いた「真水」ベースの営業益は期初の1720億円に対して1730億円と微増にとどまる。
 原油高は油ガス田開発を手掛ける「上流」事業にも恩恵をもたらす。出光興産<5019>は07年度営業利益予想を上方修正。会社予想を期初の850億円から870億円(『会社四季報』秋号予想は880億円)へ引き上げた。油価上昇に伴ってノルウェー領北海の油田での生産を行う石油開発事業の営業利益が当初の計画から70億円程度上振れすることが増額に寄与する見込みだ。
 新日石も、全体の半分近くを占める石油・天然ガス開発事業の営業利益が拡大する。一方、「下流」の石油精製・販売事業の採算は悪化する。内訳を見ると、アジアでの需要拡大の追い風が吹き続ける石油化学製品は、ポリエステル繊維・樹脂の原料になるパラキシレンなどの伸びが続きそう。これに在庫評価益の押し上げ要因も加わり、同事業の損益は見かけ上は黒字だが、その要因を除いた実質ベースでは期初予想の108億円の赤字から262億円の赤字へと損失幅が拡大する見込み。
 石油製品の中心となるガソリン需要は国内の自動車販売の頭打ちで減速感を強める。油価上昇を受けて元売り各社は仕切り価格を引き上げたが、価格転嫁はさらなる需要減につながる可能性もあり、頭の痛いところだ。国内での製品需要の伸び悩みを受けて各社は輸出強化などに取り組む。
【松崎 泰弘記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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