小学館「マンガワン」問題で、被害女性が出した《1400字声明文》の凄み…「小学館を『許せない』とは言っていない」 の真意

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小学館に、責められ、反省・改善すべき点があったことは間違いない一方で、多くの漫画家や読者に影響が及ぶことは本意ではない。もし被害者本人が意思表示しても、けっきょく漫画家たちが仕事を失い、媒体も消滅してしまうような社会であれば、今後は自分のような漫画が好きな被害者が声をあげづらくなるかもしれない……被害者は小学館を擁護したいわけではなく、変わるきざしを感じたからこそ、そんな思いをつづったのではないでしょうか。

被害者が「最優先してほしい」と願っていること

 これ以上、小学館への批判がインターネット上で炎上することは、望んでおりません。また、あらかじめ申し上げておきますが、文春に対する批判についても、同様に、望んでおりません。
 私の事件に、多くの方が関心を寄せていただいたことは、本当に有り難いです。私が心から望むことは、加害教員からの被害の実相を広く知っていただき、こんなことが起きないよう、社会全体で子どもを性被害から護る仕組みをつくっていただくことです。
 それぞれのお立場で、できることに取り組んでいただければ、大変嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します。

被害者が加害者を訴えたのは「自分のような被害者を生まないため」という理由からでした。さらにこの結びの文章にも「私の望みは社会全体で子どもを性被害から護る仕組みをつくっていただくこと」と書かれています。

そのスタンスは苦しい日々が続く中でも一貫していて、「これだけは絶対に実現させてほしい」という切実さがにじんでいました。

同時に、「誰かを感情的に叩き続けることで、仕組み作りが後回しになるのは皆さんにとってよくないこと」「それぞれの立場から具体的な仕組み作りに向けた建設的な議論をしてほしい」というニュアンスの聡明さを感じさせられます。

被害者は小学館の変化を直接感じたから、今後もそれを注視していくのは当然として、一企業を超えた社会的な仕組み作りを求めているのでしょう。

記事のコメント欄やSNSは加害者と小学館への怒りと懲罰感情が多くを占めていますが、私たちはそこにとどまらず、抑止力の生み出し方や法改正などを含めた仕組み作りにつなげていくことの大切さを実感させられます。

小学館の責任やガバナンスの問題と、性加害を抑止する仕組み作りの問題は別次元の話であり、彼女は被害者としての優先順位が高いのは後者であることを訴えたかったのではないでしょうか。

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