「強いて言うなら…全体的におかずが茶色すぎるかな?」 竹内涼真が好演『じゃあ、あんたが作ってみろよ』に見る"変化"

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勝男は学生時代から付き合いのある山岸鮎美(夏帆)と同棲生活をしているが、料理の色合いや旬の食材を使っているかどうか、冷凍食品を使っていないかを逐一チェックしてくる面倒くさい男である。そのうえ、自分は料理を手伝う訳でもなく、トレンディドラマを視聴している。

竹内涼真の爽やかさをもってしても溜飲下がりきらないとは、まさにこのことだ……。「家庭において女性が手の込んだ手料理を振る舞うのは当たり前」という価値観を持つ化石男こと海老原勝男は、45年前に放送の『池中玄太80キロ』の世界線に存在していても、何ら違和感がないほどである。

しかし、このドラマはそんな化石男が煙たがられたり、周囲が袋叩きにしたりするような勧善懲悪ドラマではない。プロポーズに失敗した勝男が料理をするようになることで鮎美や周囲との関係を再構築(リビルド)していく物語なのである。

ベッドでスマホ
鮎美が料理をしているときはトレンディドラマを見ており、手伝う素振りはない(画像:番組公式サイト)

改めてではあるが、勝男がどのようにアップデートしていったか振り返ってみよう。筑前煮やとり天などの「料理をするようになった」という行動の変化が目に見えて分かるものであるが、それを通じて「周囲との関係を再構築したこと」が彼にとっての最大のアップデートと言えるだろう。

例えば、プロポーズを断られた鮎美には「とり天の作り方を教えてほしい」とお願いしたり、余った自作の小籠包を食べてもらったりと、勝男が料理を始めたからこそ生まれたコミュニケーションが多く存在した。むしろ、勝男が料理をしていなかったら話すことは2度となかったのではないかと思うほどである。

さらに、会社の同僚である白崎ルイ(前原瑞樹)や南川あみな(杏花)とも料理を通じてコミュニケーションを深めていく。これらのやり取りから、現代において料理することは「女性が主体となることで家族を支えるもの」ではなく、「男女問わずに主体となることで周囲との関係性の構築に寄与するもの」へと変容していると解釈できる。それは友人関係でも家庭関係でも言えることだろう。

1980年代から2025年までの家事をめぐる変遷

次に、料理を含む「家事」全般をめぐる社会的な動きを、久保桂子『共働きと男性の家事労働』を参考にしながら見ていこう。

1979年に国際連合で「女子差別撤廃条約」が採択され、女性だけでなく男性の伝統的役割の見直しの必要が記された。さらに、1981年の国際労働機関(ILO)で「家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約」が採択されると、家族的責任を有する労働者は男性労働者も対象となった。

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