《積水ハウス事件》「地面師」たちのまさかの"その後" なぜ大企業は狙われたのか…主犯格から届いた衝撃の手紙
――これだけ詐欺の手口が詳らかにされても、現に地面師による被害は後を断ちません。今後も彼らは暗躍していくのでしょうか。
森:根本的な構造が変わらない限り、根絶しないのではないでしょうか。
基本的にデベロッパーは、地主から土地を買う際に、本人確認の手続きを行う必要がある。そこで偽造パスポートや書類を使ってごまかすのが1つのパターンですが、偽造を見破れるかどうかは技術の応酬であり、いたちごっこの構図になっています。
加えて、地面師たちのやり口も巧妙化しています。これまでは地主になりすますのが定石でしたが、最近では会社ごと乗っ取ってしまうケースも散見される。株主総会の議事録を偽造して登記を済ませ、その会社が持つ保有物件を売り払うケースも増えています。
実際に、不動産業界への取材では、「あそこはどうも地面師たちが手掛けてる物件だ」という噂も耳にしますね。
すでに彼らは動き始めているかもしれない
――昨今は、都心部を中心に地価が上昇し、各所で再開発も進んでいます。こうした状況下では地面師詐欺も再燃していくのでしょうか。
森:先ほど述べた00年前後のように、地面師が横行するのは必ず不動産の上がり局面です。そう考えれば、再開発と地価高騰が進む現在は、地面師が入り込む余地が広がると考えてもおかしくない。
買い手の不動産業者は、地価が高騰するほど「好物件を逃したくない」という焦りが生まれる。優良物件をいち早く見つけて、地主から買い取り、競合に先んじたい。その競争心や射幸心が膨らむなかで目が眩み、巧みにつけ込まれるわけです。
当然、地面師たちはその心理をうまく突いていく。一度動き出してしまえば、狙われた組織としても、売買契約を止められない心理的なバイアスがかかるだろうと見越しているのです。
積水ハウス事件でも、本人確認の際になりすましが干支を間違えたり、本物の地主から怪文書が届いたりと、どうみても事件を防げた痕跡が数多く残っている。それでも大手になればなるほど、面子や組織の事情が絡み、どこかで違和感を覚えても引き返せなくなるのではないでしょうか。
――本書は「そろそろ刑期を終えた地面師たちも社会復帰している」と結ばれています。
森:10億~20億円規模の地面師事件だと、せいぜい懲役4~5年、長くても7~8年が相場です。積水ハウス事件は世間を騒がせた象徴的な事件だったため、主犯格らには10~12年という重い量刑が出ましたが、それでも詐欺罪の最高刑は15年が上限(詐欺罪の法定刑は10年以下だが、併合罪では最大1.5倍となる)です。
仮に、10億円を騙し取って4~5年で出てこられるなら、地面師集団としても御の字で、抑止力としては弱い。積水ハウス事件で逮捕された地面師たちも続々と出所しており、すでに彼らは再び動き始めているのかもしれません。
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