日中関係悪化の中…深まる《中韓関係》の実態 「文化の起源」「THAAD」を巡る論争あるが、中国人の"韓国への好感度"が変化

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趙さんは両国の関係について穏やかに語った。「中韓関係って、ずっと緊張したり、また落ち着いたりを行ったり来たりしてきた。それでも、その揺れの中から新しい発展とか、いいチャンスが生まれてくれたらいいなと思っている」。

民間レベルでは、中国に親しみを抱く人もいれば、関心を持たない人もいる。ただ、彼女が出会った学生の中には、中国の都市や文化について生き生きと語る人も多く、その姿が強く印象に残っているという。

韓国の様子
韓国の街中の様子(写真:取材協力者提供)

中国人の対韓感情を見ると、大衆文化の分野では比較的強い親近感があるようだ。韓国文化に魅力を感じる中国の若者は少なくない。

筆者が数人の中国人の若者に「韓国と聞いて何を思い浮かべるか」と尋ねたところ、キムチ、K-POP、韓国ドラマ、芸能人、イケメン、化粧品、美容整形などの答えが返ってきた。

いずれも、韓国文化が身近な存在であることを示している。韓国ファッションも若者の間で人気が高く、韓国を「流行の発信地」と好意的に捉える層も多い。

また、歴史問題に関しては、日本に対して共通の立場を取り得ると考える人もいる。

中国の習近平国家主席は、1月に開かれた韓国の李在明大統領との会談で、「中国と韓国は歴史の正しい側に毅然と立つべきだ」とも発言している。この言葉は、日中韓の歴史認識をめぐる対立を背景に、韓国との連携を示唆するメッセージとして解釈されている。

友好ムードの一方、相手国への感情は複雑

しかし、中韓の民間感情は天候のように変わりやすい。伝統文化の起源をめぐる論争やスポーツ大会での摩擦などが中国のネット空間で繰り返され、「文化的ライバル」としての意識も強まっている。

また、韓国が安全保障面でアメリカと緊密に連携していることに対して、中国内で警戒や不満の声も一定程度存在する。多くの研究者やメディアは、近年の中韓関係悪化の大きな転機の1つとして、アメリカ軍が韓国に配備した高高度防衛ミサイル「THAAD(サード)」を挙げている。中国では、これに対して民間からの反対の声も非常に強かった。

韓国人の対中感情も複雑だ。中国は韓国にとって最大級の貿易相手国であり、観光や製造業など多くの分野で経済的結びつきが強い。一方で、政治体制の違いや過去の外交摩擦、中国の影響力拡大への警戒感が韓国内で広がっているのも事実だ。中国人観光客のマナーといった日常的な話題が、否定的な印象を強めることもある。

要するに、両国民の相互認識には「文化交流や経済協力が生む親近感」と「政治やナショナリズムがもたらす対立意識」が併存している。交流が進めば理解は深まるが、外交問題やネット世論が感情を急速に冷やすことも少なくない。

今後の中韓関係では、経済的相互依存を維持しつつ、揺れ動く国民感情をいかに抑え、安定させるかが変わらず大きな課題となるだろう。

黄 文葦 ジャーナリスト

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こう ぶんい / Kou Buni

日本と中国、日本語と中国語を愛する在日中国人フリージャーナリスト。学校法人白萩学園名誉理事。中国の大学と日本の大学院でマスコミを専攻、日中両国のマスコミの現場を経験。2000年来日以降、日本語と中国語で教育、社会、文化の問題に焦点を当てたコラムを執筆し、両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。19年に電子書籍「日中文談: 在日中国人の日本観(エッセイ)」を出版。20年8月から23年7月までの3年間、日中文化比較のメルマガ「黄文葦の日中楽話」を発行。24年10月、「新中国語から中国の『真実』を見る」(風人社)を出版。

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