吹奏楽部「大編成の存続危機」が実はチャンスと言えるワケ、《指導と編成》進化のカギを握る驚きの"先端技術"とは?
例えば、先述の中村准教授の研究における練習システムで、楽譜上の音程やリズムといった視覚的な情報表示を見ながら単に「そのとおりに」練習・演奏しても、人間の能力が向上するとは限らない。それは「なぞっているだけ」で、定量化された正確度を実感できているとは言えないからである。
現在も、チューナーを付けたまま合奏させて指導している姿をよく見かけるが、これと同じリスクがAI活用には潜んでいる。チューナーはあくまで基準であって、そこに合わせることが最重要ではない。チューナー上で「正確なピッチ」に合わせた時の身体的および感覚的な違和感や達成感を個人の感性をもって実感することが肝要だ。
中村准教授の研究を活用する際の核心もここにあると筆者は考える。ピッチやリズム、そしてタイミングがずれている・合っているという感覚を、練習システムの活用によって精度が上がっていく過程で、身体的および感覚的な達成感や労苦を感じることが大切なのである。
「プレイヤー1人ひとり」を磨くために
上瀧教授の研究の活用においても、重要なポイントは同様である。上瀧教授の半自動演奏ロボットは、練習の積み重ねがなくても演奏できてしまうわけだが、その過程でおそらく何らかの手応えや違和感が生まれてくるはずである。例えば「ここは簡単に指が動くけれど、ここはズレが生じやすく難しい」といった感覚をそれぞれが実感するはずだ。
つまり、テクノロジーを活用した演奏学習は、演奏における自分の個性を実感し、洗練させていくことに大きな効果を発揮するのではないかと考えられるのである。
こうした新たなシステムを吹奏楽部の地域展開、とくに部員が少なく小編成の地域響として再スタートせざるをえない吹奏楽部に導入し、プレイヤー1人ひとりをまず磨いていくことが、吹奏楽部の存続、ひいては吹奏楽の新しい価値の構築につながると筆者は考えている。
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