学校を変えた、困っている子は「校長室に登校」《担任一人に背負わせない仕組みで"排除しない教育→学校文化"を形に》

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4年生では、児童一人ひとりに合った「学び方」を選べる授業づくりが紹介された。1人で学ぶ、少人数で学ぶ、友達に教えてもらうなど学習形態に幅を持たせ、ワークシートも手書きとデジタルを選べるようにした。

算数では「学び方別コース」を設け、子どもの声を聞きながら選択肢を作り、迷う児童には「試食コーナー」のように試させてから定着させる工夫も行った。

また、「ファシリテータープロジェクト」として子ども自身が授業を教える仕組みも導入。自分に合うスタイルで学びつつ、定期的に進捗を共有し、互いの学びを認め合う場も設けている。

「選択肢の拡大」と「認め合いの保証」という2つの車輪を回すことで、インクルーシブな学級経営を実現している。

6年生では、自閉症のある児童を中心に据えた学級づくりが報告された。担任は特別支援教室と連携し、「ソーシャルスキルモンスター」という取り組みを導入。困りごとを「モンスターの仕業」と捉え、クラス全体で対処法を共有する共通言語をつくった。

その結果、児童は自分から挨拶をしたり、学習を自分なりにまとめたりする姿が見られるようになった。原稿用紙7枚の手紙で自分の思いを伝えるなど、大きな変化も生まれたという。

こうした実践はクラス全体にも影響を与え、「お互いの特徴を理解して尊重したい」といった声が子どもたちから上がった。

各学年の取り組みに共通するのは、「困った子」ではなく「困っている子」という視点だ。多様な子どもに合わせて環境や学び方を整えていく。その日々の積み重ねが、インクルーシブな学校文化を少しずつ形づくっている。

掲示された教職員へのアンケート結果
26年2月に同校体育館で開催された公開研修会では、会場内に教職員へのアンケート結果を掲示。一般社団法人UNIVA理事・野口晃菜氏、ノートルダム清心女子大学人間生活学部児童学科准教授・青山新吾氏の講演も行われた(写真:筆者撮影)

制度の判定よりも「納得感」を

こうした学校の取り組みの背景には、就学制度の変化もある。かつては「就学指導」と呼ばれていた制度は、現在は「就学支援」へと転換されている。

高橋氏によれば、この変更は名称だけではなく、考え方そのものの変化を意味している。原則としてすべての子どもは通常学級に在籍し、支援が必要な場合に特別支援学級や特別支援学校を選択する――という考え方だ。

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