「福岡県民がホッとする"やわモチ麺"はこうして誕生」─焼肉主軸だった《ウエスト》がうどんで地元の定番になった訳

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そして、揚げたての天ぷら。当時、多くの個人店では揚げ置きの天ぷらをうどんに乗せるのが一般的だった。そこに揚げたてを導入する。手間は増える。現場からは負担の声もあったという。

しかし結果は明確だった。揚げたてのかき揚げは名物になり、ボリュームと価格のバランスで支持を集める。香り、音、食感。うどんの印象が1段階引き上げられた。

うどん100店計画と同時に推し進めていたのが、CMだ。

「ウエストのうどんが断然おいしくなりました!」

「テッテデー」と始まる、軽快な音楽とともに、メニューごとに「断然おいしくなりました!」と宣言する。麺、出汁、天ぷら。単に「おいしい」と言うのではなく、「前より良くなった」と言い続けた。

「それぞれの素材をどんどんブラッシュアップしていったんです。ちゃんと本当にブラッシュアップされていて、それを楽しみに来ているお客さんもいました」

CMと実態が一致していたことで、ファンが増えていった。冷凍麺への転換。出汁パックによる安定化。揚げたて天ぷらの導入。裏側で進めていた仕組みの改善を、CMという形で外に出していた。広告は誇張ではなく、更新通知だった。うどんが刷新され、評価を高めていくうちに、だんだん状況は変わり始める。

「最初はウエストといえば焼肉の話をしていたんです。でも、途中からうどんの話が先に来るようになった」

それからというもの、人気芸人がウエストを語ったり、人気ミュージシャンがSNSに写真を上げ、コンサート帰りの定番として紹介されたり。そんなことを繰り返すうちに、ウエストのうどんは「福岡の定番」と、語られるようになっていった。

店舗拡大とともに、味の刷新をアピールし、期待に応え続けていった結果だったのだ。

黒字撤退も…。ウエストの現在地

うどんウエスト新宮店(写真:株式会社ウエスト)

うどん100店を達成し、「うどんのウエスト」として定着した現在。拡大の時代は終わり、今では閉店する店舗も出始めている。

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