二代目が大事にしていた「ギブアンドギブアンドギブアンドギブ」の精神も影響している。「まず私たちから与えることが先。見返りを求めず、とにかくギブする」「お客様の立場になって、自分がやられたら嫌なことはやらない」。このホスピタリティあふれる姿勢が、社内の人間関係にも表れているのだ。
一方で、「子供や孫が入りたいと思える会社にしよう」というスローガンも掲げている。地域貢献にも積極的で、天王寺動物園にホッキョクグマを2頭寄贈(2006年にオス、2015年にメス)。店の紙袋も、定期的に消防や警察とコラボレーション。火災予防週間には「火の用心」のメッセージを入れるなど、啓発にも協力。社内外の人だけでなく、地域も大切にする企業風土がある。
「相変わらず」でいたい
2025年で、創業80周年を迎えた551。
これからの目標は? 尋ねると、八田さんは少し考えてから、困ったようにほほ笑んだ。
「100年の節目はもちろん目指していますけど、『100年絶対いきたい』っていう感じでもなくて。とにかくずっと身近で、関西でやっていけたらなと思っています。世の中が変わっても、うちは相変わらずでいけたら。おいしさをそのまま守り続けることがいいのかなと」
AIが登場してすべてが目まぐるしく変わる世の中だ。それでも、「味が変わってしまうのであれば、新しいことをやらない。あくまで基準は味」と言い切る。
そうだ。150分の制約、機械化を断る覚悟、1日1000個を包む手作業、そして「大きくならない」という選択。すべては「味を守る」ためだった。「相変わらず」は停滞ではなく、80年間、毎日17万個の味を守り続けてきた証しだ。
100年先も、変わらぬ味がここにある。
シーン――。あの沈黙の理由が、ようやく分かった気がした。
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