機械化せず手包みで1日17万個の"爆売れ"《豚まんチェーン》─「出店してほしい!」の声多数だが関西圏から出ない訳

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人間の「手の感覚」は機械に勝る(写真:筆者撮影)

なぜ「見える場所」で包むのか

ところで、この「豚まんを手作業で包む技術」を身に付けるには、どれくらいの時間が必要なのだろうか。

「新入社員は基礎知識の研修を受けた後に店舗に入って、先輩社員から生地の状態の確認方法や包み方から教わります。一人前になるまでに、早くて1年はかかりますね」

ただし、それはあくまで「豚まんを包める」という意味での一人前だ。

生地の管理など、豚まんに関わるすべての技術を取得できるようになるのには、早くとも2〜3年かかる。

上達の指標となるのは、スピードと形だという。どうしてスピードを重視するかというと、551は豚まんを「実演販売」しているからだ。すべての店で、並んでいる客から豚まんを作っているところが見えるのだ。

全店で「実演販売」が行われている(写真:筆者撮影)

では、一体なぜ実演販売をするのか。ある種のパフォーマンス的なイメージを持っていたのだが、その予想は裏切られた。

「もともとは、出来立てを提供するためにはじまったんです。そこから、お客様に『ここで作ったものが販売されているんだな』と安心していただく役割も生まれました。もちろん、並んでいる方がそれを見ている間に列が進めば、待ち時間を長く感じないという利点もありますが、それは副次的なものですね」

さらに、意外な役割もあった。

「お客さんに見てもらうだけじゃなくて、私たちも見るためです」

どういうことか。豚まんは包んだ後に約20分蒸し上げるため、スタッフは20分先のことを見越して行動しなければならない。行列の数や人の行き来を見て、包むスピードや数を調整しているのだ。

難波の本店で言えば、近くにある吉本興業の劇場『なんばグランド花月』の公演が終わって人通りが増えるタイミングなども想定しているそうだ。

実演販売は、単なる「見せる」行為ではなく、需給調整のシステムにもなっていた。

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