「スタッフのモチベーションを上げるために5年に1度、社内で『美人豚まんグランプリ』も実施しています。みんなで豚まんを作って、さきほどお伝えした基準で審査します。そうして最高の豚まんに選ばれた人が『超名人』、次点が『名人』と呼ばれています」
超名人、名人となると、7.5秒に1個包む人も。1分間に8個を包む計算で、一人前と呼ばれる人の倍の速さである。この記事を前編から読み始めて約10分とすると、名人はすでに80個包んでいる計算になる。
「ただ、一発勝負なので。名人、超名人を取れていない人でも、すごい人はいっぱいいます。本番に弱い人もいますから」
豚まんづくり、機械化できる?
しかし、ここで1つ疑問が浮かんだ。これだけ大変な工程、機械化はできないのだろうか。AIが台頭する令和の時代、不可能ではない気がする。問うと、八田さんの表情が少し引き締まった。
「機械化は検討したことがあります。ただ、うちの生地は機械化に向かなかったんです」
機械化するには硬すぎたのだという。そこで、「生地の硬さを変えれば機械化できる」と提案されたそうだ。しかし、答えは絶対NO。「それはうちじゃない。創業からの生地でやりたいので」と断った。あの「ふわふわ食感」を変えることは許されないのだ。
機械化できないのには、もう1つ理由がある。「手の感覚」だ。
「人間の手って、割とうまくできているんですよ。粘度が微妙に違ったときに、力加減を調整できる。『なにかおかしいな』っていうときにも気づける。機械化を否定はしていないんですけど、そういったことも考えると、今は手が最善策だと思っています」
効率より、味と安全性。その選択が、80年間変わらぬ味と看板を守っているのだ。





















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