意外と「モヤモヤ」、でも失望じゃない!高校教諭がハーバード教育大学院に「AI×教育」で留学して得た"切実な気づき"

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

時差の関係で毎回スタートは日本時間の日曜朝9時であるにもかかわらず、参加してくださる先生方の熱意にはいつも頭が下がる。私もこの場を先生方にとって、もっと有意義なコミュニティにしたいと、思いを新たにした。

「ポストAI」の教育のあり方を探っていきたい

留学中、何度もこう聞かれた。「識字率も高く多くの人が教育を受けられる日本の教育の何が問題なのか?」確かにそうだ。

しかし、だからこそ私は考える。日本の教育の強みを生かしながら、ポストAIの教育を考えた先に1つの解があるのではないか。

筆者を含む学生みんなで談笑しているところ
「日本の教育の問題って?」おしゃべりから本格的な議論が始まる(写真:筆者提供)

アメリカにはマイクロスクールやチャータースクールなど新しい教育モデルを試行できる土壌があり、その事例が議論を活性化させている。

成否を問わずそのような事例を蓄積していくことができれば、もっと日本でも議論が盛んにできるのではないか。そんなことを考えるとワクワクする。

留学前、安直にも私はアメリカに来れば答えが見つかると思っていた。しかし今のところの暫定解は「解なし」だ。知れば知るほど答えがわからなくなる。ただ、それは決して失望ではない。

なぜなら、世界のトップ大学でさえ模索している今だからこそ、教育現場での一つひとつの試行錯誤が意味を持つからだ。ここでも大事なのは、結果以上に過程なのかもしれない。

AIは教育をどう変えるのか――その問いから始まったこの留学。しかし今私はそれと同じくらい、教育の本質をどう問い直すべきかに興味がある。

「モヤモヤ」は、まだ続いている。しかし、そうした問いを突き詰めていくことこそが次の一歩になりそうな気がする。私たちは、生成AI以前の教育を知る最後の世代だ。AI以前と以後、その両方を知る唯一の世代として、私たちにしかできない役割があるはずだ。

帰国後、私が取り組みたいのは、ポストAIを見据えた教育の実証と実装だ。学びの成果ではなくプロセスを評価する仕組み、生徒が提出物ではなく、自身の成長そのものを成果と捉えられる学び、確かな学習理論に根差した教授法、AI活用により生まれた時間を対話や課題解決型の学びに充てる環境――。

そうした教育を現実の場で形にしていきたい。そんな場を、教育の未来を本気で考える方々と共に創っていくこと。それが今の私の目標だ。

※マイクロスクールとは、超少人数・異年齢混合で学ぶ「現代の寺子屋」的な学校。AI教材等を活用した個別学習が中心で、民家や空きスペースを利用するなど場所や形式にとらわれない柔軟さが特徴。チャータースクールとは、公費運営でありながら独自の運営契約(チャーター)に基づき、民間の知恵を活かした教育を行う特別認可学校。既存の公立校の規則に縛られず、特定の教科や指導法に特化した教育実験が可能
東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。
上村 洸貴 長崎県立長崎北高等学校教諭

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かみむら こうき / Koki Kamimura

富士通に勤務した4年間で技術営業やベトナムでの市場調査に従事した後、長崎県の公立高校で英語科教員を10年務める。英語教育における生成AIの活用を積極的に推進し、英文の添削やスピーキングの練習、英語でのディベートなどにおいてChatGPTを活用した授業を実践している。生成AIの教育への活用とその普及戦略について研究するため、2025年秋よりハーバード教育大学院に留学中。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事