予知能力者は「幸せになれない」? 残酷すぎる宿命に『フリーレン』南の勇者が示したまったく新しい答え

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この問題に対して、もっとも本質的な言葉を与えてくれていると自分が考えるのは、ソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』に登場するジャンヌ・ダルクの言葉です。

「未来を知って動き、未来を知って動かない。私はそれは、人間ではないと思います」

未来がわかっているからその通りに行動する、あるいはわかっているから何もしない――どちらも、「考え、悩み、選択する」という人間の本質的な営みを失っています。すべての結果が既知である状態で動くことは、シナリオ通りに動くだけの「装置」に成り果てるに等しいわけです。未来を知ることは、裏を返せば人間らしさを失うことなのかもしれません。

南の勇者という、まったく新しい答え

そうした重苦しい図式に対して、漫画『葬送のフリーレン』の「南の勇者」というキャラクターは、まったく異なる角度から答えを示してくれます。

南の勇者は、未来予知の魔法を使える人物です。彼は自分が魔族との戦いで死ぬ運命にあることを知っていました。世界が救われることも知っていました。

普通に考えれば、そこで踏みとどまるはずです。なぜ、自分が死ぬとわかった道を進む必要があるのでしょうか。しかし彼は、それでも前に進むことを選びました。人類最強と呼ばれた戦士として、自らの死が平和への礎になることを知った上で、それに殉じることを選択したのです。

ここが、これまでのどの予知能力者とも異なる点です。カッサンドラは変えられない未来に絶望しました。姫菜真姫は宣告された死に抗えませんでした。冷泉俊明は未来が見えすぎることで生の実感を失いました。しかし南の勇者は、自らの死という未来を受け入れながらも、「だから何かのために死ぬ」という能動的な選択をしたのです。

これは「未来を知って動く装置」ではなく、「未来を知ってなお、人間として選択した存在」と言えるでしょう。

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